育鵬社教科書の評価「突出して低い」神奈川県藤沢市審議委員会

神奈川県藤沢市の教科用図書採択審議委員会が2020年7月1日に開催された。

2020年夏に採択予定の中学校教科書について、市内の中学校の教員が見本本を評価した「教科用図書調査書」をまとめた資料が藤沢市教委から提出された。資料では、社会科歴史・公民では育鵬社教科書の評価が突出して低いことが明らかになった。

同市では2011年・15年・19年に育鵬社教科書が採択され、問題になっていた。

調査書は市内の全中学校から提出されている。

各教科について担当の教員らが▽内容と構成▽分量・装丁・表記▽教科ごとに求められる工夫や配慮▽生徒の実態や地域の特性との関連-の四つの観点から各教科書について、使用するのにふさわしいかどうかを評価(複数回答)した。

(神奈川新聞2020年7月2日)

社会科歴史・公民ともに、育鵬社はどの項目でも評価が低かった。「使いづらい」「内容に問題点が多い」などと評価されている。

歴史・公民ともに、評価がもっとも高かったのは東京書籍だった。育鵬社は歴史では一番評価が低く、公民では2番目に評価が低かった。

市内小中学校校長代表や保護者代表などの委員で構成される審議委員会が審議内容をまとめ、市教委に答申した上で、2020年7月31日予定の臨時教育委員会会議で採択することになっている。

現場の声を反映した採択を

育鵬社教科書は、特定の政治的イデオロギーに基づく一面的・一方的な記述に陥っているなど問題が多い。事実関係の記述ですら、明白な誤りや、特定の政治イデオロギーに沿って書かれていることで一方的で誤解を招く記述も多々見られる。学問的に標準的な見解からもかけ離れた内容も多いので、中学校現場での授業にも支障をきたすだけでなく、高校受験や高校以降での学習にも支障をきたすような代物である。

現場の教員からの評価が低いのもうなずける。

一方でのこのような教科書が採択される背景には、育鵬社教科書を支持する勢力からの政治的なごり押しなどもある。2011年の八重山教科書問題や、2015年の大阪市での教科書展示会アンケート不正問題をはじめ、育鵬社を支持する首長・教育委員や外部団体などの圧力とみられるものがあったケースもしばしば報告されている。

特定の政治的圧力ではなく、学校現場の声・市民の声を重視し、静謐な環境で採択がおこなわれる必要がある。

藤沢市での採択の行方は、注目の必要がある。