デイリースポーツ2020年6月28日に『吉村知事に「現場を見に来て」…府下の現役教師が注文…新型コロナ下の混乱』という記事が出た。

大阪府の新型コロナウイルス対策では、吉村洋文大阪府知事が一方的な思いつきで適当なことを言うことで、現場を混乱させている。
教育現場でも例外ではない。大阪府内の公立小中学校の教員の声を、記事にまとめている。
大阪府の教育現場の声
インタビューに応じた男性教諭は、以下のようなことを指摘している。
「吉村さんがいろいろ発言されます。教育についても。その結果、われわれ現場に降ってわいたような混乱がやってくるんで大変なんです。トップダウンによるスピード感はあるのでしょうが弊害は皆無ではない」
具体例として、「臨時休業中の児童生徒を支援するとして、大阪府が府内の児童生徒に図書カード2000円分を配布する」と、2020年4月に吉村知事が発表したことについて触れている。
記事で指摘された内容は、要約するとこのようなもの。

自身も同僚教員もニュースで初めて知り、校長に問い合わせても「よくわからない」という反応。配布手法は学校任せ。郵送でもよいと言われた一方で、郵送するなら切手代は学校で工面しろという扱い。家庭訪問して戸別配布するしかないが、府教委は当初「感染拡大防止のため、児童生徒との対面接触は望ましくない」としていた。府教委はのちに「児童生徒の安否確認」名目で家庭訪問などでの直接対面を認めたが、安否確認なら電話などでもできる。緊急事態宣言のもと、図書カードを配るために家庭訪問して地域を歩き回ったことで感染リスクにおびえたし、保護者の側も家庭訪問されることに不快感を感じる人もいた。郵送などの配布方法や郵送代を予算化しなかったのは無計画で、「知事の人気取りのパフォーマンス」という声も出ている。
別の女性教諭の声も掲載されている。
この教諭は、以下のような趣旨を述べている。

学校再開後には、消毒作業も教師に任されている状態になっている。他の業務もたくさんあるもと、消毒作業も加わったことで勤務状況が過酷になっていて、消毒作業は専門業者に依頼すべきなのではないかという疑問がある。
この教諭は、学校現場に余裕がなくなった原因として、新型コロナ問題だけではなく、2007年から始まった「全国学力テスト」や、2015年から大阪府独自でおこなわれている「中学生チャレンジテスト」の存在を指摘している。橋下徹が大阪府知事に就任した2008年以降、維新政治のもとで、「テストの点数を巡って学校同士を競争させている」「政治が管理、統制を強めて教育支配、教職員統制を強めている」風潮が強まっていると指摘している。
首長の「トップダウン」に危惧を感じている教員は増えているとも訴えている。
「トップダウン」による混乱
新型コロナ問題以前から、維新の歴代首長(橋下徹・松井一郎・吉村洋文)により、大阪府や大阪市では教育現場に混乱が持ち込まれてきた。
首長の一方的なパフォーマンスと思いつきでぶち上げるものの、それは財政的・人員的裏付けがないものだったり、教育的には無理があるようなおかしなものだったりなどで、不具合が出ても後始末は現場に丸投げ・責任転嫁。そういうことが繰り返されてきた。

現場の状況を踏まえずにパフォーマンス目的で思いつきだけでトップダウンを図り、混乱と困難を拡大させるような政治はいらない。政治としての意思決定が必要な場面があっても、それは現場の状況をていねいに把握した上で、必要な措置を伴っておこなうべきではないか。