奈良県橿原市いじめ自殺訴訟、当時の部活顧問が遺族側証人として証言

奈良県橿原市立中学校1年だった女子生徒が2013年に自殺し、遺族が「いじめが原因。学校側も対応を怠った」として加害生徒4人と橿原市を相手取り約9700万円の損害賠償を求めて訴えた訴訟の口頭弁論が、2020年5月26日に奈良地裁で開かれた。

生徒が当時所属していた部活動の顧問教員が遺族側証人として出廷し、いじめの状況や学校側の対応について証言する異例の展開となった。

顧問教員は「部活動でも孤立していた。孤立の原因は、部活動の中では心当たりがない」「担任だった教員はいじめを把握していたが、自殺した生徒のことが気に入らないとして、苦しい目・痛い目に遭ったらいいなどと陰口をたたいていた」などと証言したという。

この問題では、2012年秋頃から、この生徒が同級生から仲間はずれにされたり、「LINE」で悪口を言われるなどのいじめがあったと指摘されている。部活動の上級生から腹を蹴られるなどもあったとされる。

生徒は2013年3月18日、「みんな呪ってやる」と書いたメモを残し、自宅近くのマンションから飛び降り自殺した。生徒の死亡後、いじめがあったという証言が遺族のところに複数寄せられたという。

ある保護者が、生徒の死亡直後、この生徒は「蝶々かトンボを追いかけて落ちた」などと同級生の保護者間に振りまき、不慮の事故という印象操作をおこなっていた。のちに、この保護者の娘がいじめ加害者生徒の一人だと判明したという。また自殺の原因を家庭環境になすりつけるような、根も葉もない噂が振りまかれた。

橿原市教委は事件調査に対して、遺族に敵対的とも受け取れるような態度を繰り返していた。遺族は第三者委員会の設置を求めたが、最初は市が拒否した。その後設置されたものの、市の顧問弁護士が委員に入っていたとして、委員を入れ替えて再設置をおこなうことになった。第三者委員会では2015年4月23日、いじめがあり自殺の原因の一つとなった、学校はいじめを放置したなどとする調査報告書をまとめた。

調査報告書が出たことを受け、2015年9月1日付で遺族側が奈良地裁に提訴していた。

いじめの内容もひどいし、その後の対応もひどいという印象を受ける。その中で当時の顧問教員が、学校・市側ではなく遺族側の証人として証言する、異例の展開となっている。顧問教員の証言は、学校側の対応の不適切さを裏付ける傍証となるのではないか。

この訴訟は今年度内にも判決が出るとみられている。できるだけよい形での判決が出ることを願いたい。