大阪市、学校給食再開へ:「市長の独断で発表」による混乱も

松井一郎大阪市長は2020年5月21日、市立小中学校の給食を6月1日より再開すると発表した。

大阪市では5月25日より中学校3年・小学校6年を先行して授業再開し、6月1日より全学年の授業再開をおこなう。各学年・各クラスごと、クラス内での出席番号などによる班分けなどで、児童生徒を複数グループに分け、午前と午後に時間を分けて分散登校させ、学級を少人数に分割する形で短縮授業をおこなうとしている。

午前中に登校して授業を受けた児童生徒は給食を食べてから下校し、午後から授業を受ける児童生徒は昼に登校して給食を食べてから授業に臨むことを想定している。

昼食の準備が大変だなどとする家庭の声を受けたものだという。

給食の再開自体は歓迎ではあるが、一方では重大な課題が指摘されている。

「独断」での発表で混乱を生む

松井市長はこの方針について、教育委員会との調整を行わず市長主導で発表した。そのことで教育委員会ルートでは事前に何も情報が伝達されていない学校現場が困惑・混乱しているという。

スポーツニッポン2020年5月21日配信(ウェブ版)「松井大阪市長 6月1日から市立小中学校の給食再開へ 現場からは戸惑いも」によると、以下のような声が指摘された。

一方で、現場からは戸惑いの声も。松井市長の突然の給食再開表明に「寝耳に水」と大阪市立小学校の校長。事前通達がなく、午前と午後の2回に分けての給食とした場合「午後の授業開始が早くても午後2時半になる。どうすればいいのか」と対応に頭を抱えていた。

市長の独断によって、現場を困惑させているような形になっている。このことは今回が初めてではない。

過去にも「市長の独断」で混乱を生んだ

2020年4月7日に予定されていた市立小学校入学式でも、前日昼の時点では「当日朝の時点で緊急事態宣言がでていない場合は実施する」という方向で準備していた。しかし松井市長が、教職員が入学式準備を終えて大半が帰宅した頃合いの前日夜になって突然「緊急事態宣言は6日夜のこの時点では発令されていないが、7日以降に発令される見通しが濃厚となったことで、この時点で発令されたものとみなす」と言い出して個人名義のツイッターで入学式中止を発表し、1時間ほど経って教育委員会がそれを追認し公式発表した形になった。そのことで、出勤してきた教職員が朝一番の問い合わせ電話で事情を知る、当日朝に教職員総出で電話連絡に追われる、連絡しきれなくて中止になったことを知らないまま登校してきた新入生と保護者もいたなど、混乱を生み出した。

また2018年6月の大阪北部地震では、発災時刻が午前8時すぎ、児童生徒の登校時間帯にかかっていた。事前マニュアルでは「各学校ごとに判断する」とし、実際にそれに沿って学校ごと個別に判断していた市立学校休校について、当時の吉村洋文市長(現・大阪府知事)のスタンドプレーで、学校や教育委員会を飛び越えて「全市一斉休校」と一方的に個人ツイッターで流したこともあった。このときは、各学校ごとに休校の是非を決めていた学校現場や、発災直後に「休校するかどうかは各学校ごとに判断してください。授業継続を決めたところではそのまま授業をおこなってください」という別の通達を教育委員会が出していたところに、吉村ツイッターを見た保護者からの問い合わせが殺到して、学校現場が「寝耳に水」状態で対応に追われ混乱を生んだ。

今回の件については、給食再開自体は歓迎だとはいえども、学校の教育活動に制約がでている元では休校前と全く同じ条件ではできないということも考慮しながら、現場の状況も踏まえながら具体的な運営策を検討・調整した上で発表すべきだったのではないか。

市長が現場の意見をまとめることなく一方的に方針を発表し、それに伴って生じる混乱などは現場に押しつけて知らん顔。維新の政治によって、これまでその手のことが何度も発生しているが、こういう手法はやはり有害だというべきものである。