2020年度「チャレンジテスト」実施要領を公表:大阪府教育庁

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大阪府教育庁は2020年4月13日、2020年度の「中学生チャレンジテスト」の実施要領をウェブサイト上で公表した。

3年生対象のテストは2020年6月17日実施、1・2年生対象のテストは2021年1月13日実施とした。

チャレンジテストについては、かねてから重大な問題点が指摘されてきたものである。

チャレンジテストの問題点

絶対評価でおこなう調査書の評定(いわゆる内申点)について「基準が必要」とする名目のもとで、チャレンジテストの学校平均点によって教科担当教員が評定を付ける範囲を指定されることになり、各生徒への評定の補正がおこなわれることになる。実際には事実上、大阪府全域での相対評価に近い状態となっている。事実上の高校入試の長期化ともいえ、また学校平均点によって個人の高校入試状況も左右される「集団戦」ともなっている。

さらに、出題対象となる英語・数学・国語・理科・社会の5教科だけでなく、出題されない実技4教科(音楽、美術、技術・家庭、保健体育)についても、チャレンジテストの成績を準用して評定の補正がおこなわれることになる。

これらのことで、高校入試の激化や、テスト対策を見据えた学習指導を意識せざるをえないことなど、生徒・教職員の負担増を招くことになる。

新型コロナウイルス問題の影響

出題範囲については、実施要領では例年通り「3年時6月までに学習する範囲」を想定した記述になっている。一方で実施要領を生徒・保護者向けに説明したリーフレットでは、新型コロナウイルス問題による臨時休業を踏まえて、出題範囲については「2年までの学習範囲」に差し替えている。

2020年度3年生については、2年時の2020年3月より臨時休業が続き、さらに3年進級後も5月6日まで臨時休業が決まっている。2年の最後と3年の最初あわせて約6週間分、各教科(1教科あたり週3~4コマ)ごとにみれば20~24授業時間前後の授業ができない状況となっている。今後の状況次第では、休業期間がさらに延長される可能性も考えられる。

もとよりチャレンジテストの仕組み自体に、重大な問題と欠陥がある。2020年度については元々の欠陥に加えて、新型コロナウイルス問題の影響で落ち着いて学習できる状況が作れるかが不透明になっている、学校再開が実現した場合でもまずは落ち着いて学習できる状況の回復が最優先課題となると見込まれるという事情も生じている。臨時休業中の生徒の家庭学習の状況についても、条件の差がある。

このような状況のもとでは、テストの実施自体が例年以上に強い負担となり、また各地域・学校・生徒間での格差が生じて不公正になってしまうのではないかとも思われる。

チャレンジテストは中止・廃止すべきである。少なくとも2020年度については、6月実施を早々に発表するような性質のものではない。

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