神戸市教員間暴力、調査報告書を公表

神戸市立東須磨小学校の教員間暴力事件について、神戸市教育委員会が設置した第三者調査委員会は2020年2月21日、調査報告書の概要版を公表した。

報告書の内容

30代男性教諭Stm(報告書の表記ではA教員)・30代男性教諭Sbt(報告書ではB教員)・30代男性教諭Ssd(報告書ではC教員)・40代女性教諭H(報告書ではD教員)がそれぞれ、体調を崩して休職を余儀なくされた男性教諭(報告書では「被害教諭」)と、別の20代男女教諭3人(報告書ではX教員・Y教員・Z教員)の計4人に対して、暴力・暴言・人格否定発言やセクハラ行為など計123件のハラスメント行為をおこなったと認定した。また前校長(2017年度教頭・2018年度校長)から被害教諭へのパワハラ2件も認定した。

うちA教員が被害教諭に対しておこなった行為は、計78件が認定された。B教員から被害教諭への行為は27件、C教員から被害教員への行為は5件、D教員から被害教員への行為は10件が認定された。被害教員へのハラスメント行為は、複数の加害者が同時におこなったものや、加害者が別の教員へも同時におこなったものも含めて、103件が認定されている。

4教員の被害教員との関係性はそれぞれ大きく異なり、A教員は「いじめと同等の関係性」、B教員はA教員に追随していた、C教員はA・Bよりやや年長だが学校の異様な雰囲気になじんで加勢するに至った、D教員は「2017年度は被害教員と業務上の内容を頻繁にやりとりする中で距離が縮まったが、被害教員のプライバシーに踏み込むなどした」というところから、それぞれがハラスメント行為をおこなったと指摘された。一部報道では「最年長の女性教諭Dがほかの3人に指示を出した」と指摘されたが、そのことについては認められなかった。

加害者4人からX教員に対する行為は10件が、Y教員に対する行為は7件、Z教員に対する行為は11件が認定された。A・B教員が度を超えた性的な言動をおこなったとも指摘された。

背景については、加害者教員や校長の資質に加えて、学校の教員構成がいびつなことが指摘された。新任など若い教員が増えたことに加えて、古くから在籍していた教員が異動で転出し、比較的若手にもかかわらず当該校在籍年数が長いことや課題が多いとされる6年生担任を長年続けたことでA教員が校内で力を持ち、自分たちよりも若い教員に対する横暴な態度へとつながったと指摘された。その中でいわゆる「体育会系」的な気質が蔓延し、若手教員へのいじりとして容認する雰囲気ができたとも指摘されている。

また教職員の関係性についても、学年担当でまとまって他学年担当者間の交流はあまりなかったこと、学年担当と専科教員など一部教職員の間で対立があったことなどが、悪い雰囲気の一因になっているとも指摘された。

加害者の行為とは直接には無関係とは指摘されたものの、加害者グループとは別の40代女性教員・E教員が音楽専科教員に対してハラスメント的な行為をおこなったことや、E教員から同学年担当のX教員に対してパワハラと評価されうるべき言動があったことなども指摘された。この事例は週刊誌で報じられた「加害者グループとは別のある女性教師が、前校長や加害者グループの一部と前任校でも一緒だったことなど前校長と近いとみられていたことと、また自身が大学では音楽学科出身だということを背景に、音楽専科教員にきつくあたっていた」と指摘された事例と同一だと思われる。

前校長については、高圧的な態度や、お気に入りの教員とそうではない教員とで態度を変えることなどが指摘され、「プチヒトラー」などと呼ぶ教職員もいたという指摘もあった。別の教員へのパワハラまがいの言動もあったとも指摘された。

一部で関連性が指摘された、校長が教員を指名して移動させることができる「神戸方式」については、直接的な関連性は見いだせないとした。

今後の対応

神戸市教育委員会は報告書を受け、4教員と2018年度校長、現校長への懲戒処分を検討するとしている。報道によると、A・B教員の2人について、懲戒免職を視野に入れているとしている。C教員については戒告を軸に、D教員については「児童への『体罰』・暴力行為も確認された」として停職を軸に調整しているともされている。前校長については停職ないしは減給、現校長については「被害教員から被害申告があったときの対応が不十分で、加害者側から被害者への報復的言動を呼び込んだ」などとして処分を検討しているという。

報告書で指摘された内容は、これまでの報道で指摘されてきたことと大筋で一致している。極めて悪質な行為であり、加害者への厳しい対応は避けられないと感じる。

その一方で、個人の資質にのみ責任を転嫁するのではなく、そういう風潮を生み出した学校運営のあり方についても問われなければならない。状況を詳細に分析した上で、このような非人道的なことを未然に防ぐような体制づくりについて、常に考えていく必要がある。