大阪市、学校給食無償化検討と報道

大阪市が学校給食無償化の検討を始めたと報じられている。

産経新聞2020年2月21日付(ウェブ版)『大阪市、学校給食無償化を検討 政令市初、子育て家庭を支援』によると、松井一郎大阪市長が関連部局に対し、制度設計に着手するよう指示したとしている。詳細を詰めたのち、将来的には給食無償化も含めた対応を検討するとしている。

公明党議員が2019年6月、給食無償化を検討すべきとする議会質問をおこなった。そのことに連動しているとされる。

給食無償化そのものは、歓迎すべきことである。

しかしその一方で、これまで大阪市の維新市政がおこなってきたことを考えると単純に手放しで喜べるものではない。とうてい容認できない・受け入れられないような「罠」と抱き合わせで導入することも考えられる。制度設計のあり方次第では実質的には改悪になってしまいかねないという危惧も感じる。

維新は給食無償化に反対していた

大阪維新の会最高幹部でもある吉村洋文・前大阪市長(現・大阪府知事)は2019年3月、学校給食無償化を否定していた。これは吉村氏個人の見解というより、松井一郎・現大阪市長が代表を務める大阪維新の会としての組織的見解だと受け取ってよい。

ここまで激しくはっきりと否定したことを、何事もなかったかのように導入しようとするのは、導入の中身そのものがたとえ「よいもの」であったとしても、政治家としては方針転換の理由を示していないことになり不誠実なのではないか。

2019年3月の市会では、共産党議員団から予算組み替え動議が出された。その中で提案理由について「学校給食無償化を含めた教育予算の充実に使うべき」とも触れられている。この動議は、市政与党の維新も含めて反対多数で否決されている。

財源は大阪市のままで

大阪市では、政令指定都市・大阪市を解体・分割して現大阪市域を特別区に分割しようとする、維新がいうところのいわゆる「大阪都構想」が再び問題になっている。この構想は2015年の住民投票で明確に否決されたはずだが、維新は再度の住民投票を強行しようとしている。それに伴い、特別区移行にかかる初期経費やランニングコストが莫大なものになると指摘されている。

「都構想」にかける予算があるなら、その分を住民の暮らしに回すべきであるということになる。「都構想」を断念して、政令指定都市・大阪市のままでいた方が、給食にかかる費用も捻出しやすいのではないか。

いらない「抱き合わせ」はお断り

大阪市・維新政治では過去にもさまざまな施策をおこなってきた。その一方で、ある一面だけ見れば「よいもの」に見えても、実際は別のところに重大なしわ寄せをおこない、単純に喜べないようなものも、いくつも混ぜ込んできた。

保育所の増設は、公立保育所の統廃合と民営化・民間参入、保育基準の市独自での切り下げなどがセット。

大阪市立大学・大阪府立大学を無償化しようとする施策も提案されているが、これは両大学の統廃合を前提にしたもの。

教科書採択についても、採択地区の全市1採択地区への統合が育鵬社教科書の採択につながり不正の温床の一因となった指摘から再び採択地区が細分化されたものの、元の地区割りに戻すのではなく、「大阪都構想」での特別区の区割りを出してきたということもあった。

これは主に大阪府の施策になるが、高校の私学無償化そのものはいいとしても、私学に誘導して公立高校の定員割れを招き、それを口実にして公立高校の統廃合が連動しているシステムになってしまっているという指摘も。

維新というのはこんなことばかり。

給食無償化自体はできるだけ早く実現してほしいと願うものだが、その一方で、無償化とセットでおかしなものが混ぜ込まれないように注意していかなければならない。