小学校統廃合「行政主導で進める」条例、維新・公明賛成で可決:大阪市

大阪市で小規模校の統廃合を行政主導で進めることを条例で明記した「大阪市立学校活性化条例の一部を改正する条例案」は、2020年2月21日の大阪市会本会議で、大阪維新の会と公明党の賛成で可決・成立した。2020年4月1日からの施行となる。

自民党・共産党と、無所属議員の会派「市民とつながる・くらしが第一」が反対した。

大阪市での学校統廃合については、条例施行前の現状でも、維新市政によって市側の意向が強硬に押しつけられる傾向が進んでいる。

文部科学省の学校統廃合の手引きでは、具体的な統廃合には地域合意が重要と明記されている。また大阪市の方針としても「地域合意が重要」とする建前が出されていた。条例制定によって、それらのことを放棄したことになる。

背景には、生野区西部地域での統廃合計画で地域合意が得られずに混乱し「一旦立ち止まって見直すべき」という意見が出ていることを、条例化で上から押しつけることで異論を封じて打開しようとしたのではないかと言うことも指摘されている。生野区の当該地域だけではなく、大阪市全域に影響を及ぼすことになり、こういうやり方は極めてまずいという不安を感じる。

市会本会議での討論(要旨)

山本長助市議(自民党)

反対の立場から討論する。

今回の改正条例案は学校統廃合を強制するもの。生野区で学校再編で合意がうまくいっていない状況を打開する側面がある。

問題点は3つある。1つめは、総合教育会議の問題点。資料に地元地域の意見を恣意的に記載し、当事者からは「そんな発言はしていない」「趣旨が違う」と抗議が出て教育長宛に文書が提出されている。言った言わないの議論にするのは避けるが、会議資料を作成するときに本人になぜ確認をとらなかったのか。発言をあえて切り取ったのではないかというのは問題。

2つめは、保護者の意見を聞くという改定案16条の意味。鶴橋・勝山両中学校の統合の際、市教委からは「最後にもめるのは校名だから」とまず校名案を決めさせてほしいという提案があった。地域の人はそれに応じたが、統合新校の校名案が決まったことをもって学校統廃合の合意ができたと判断した。これはだまし討ち的手法ではないか。教育委員会は「合意という概念はない」とした。改正条例案は学校再編強行案としか考えられない。

3つめは、過小校のみ対象にして過大校は対象外となっていること。過小校は機械的に統廃合するのに過大校は個別対応というのは、あまりにも身勝手な対応。

生野区での不作為を棚に上げ、都市計画や都市政策をないがしろにしてきた失敗のつけを住民に押しつけることはあってはいけない。

海老沢由紀市議(維新)

賛成の立場から討論する。

少子化に伴い、小学生の児童数はピーク時の約23万人より約半数に減少しているのに学校数は横ばいになっている。3割は小規模校になっている。小規模校は目が届きやすいというメリットもあるものの、教育活動や人間関係の幅が狭くなり、教員の年齢構成のいびつさもあって教員配置が難しくなるなどのデメリットもある。さらに少子化が進むもとで再編は避けて通れない。

生野区西部地域は、3校以上の統合はまとまりにくい、考えが共有されるのは難しいなどの問題もあり、「いったん立ち止まることをを求める」陳情も出たが、子どもは日々成長している。再編を止めることはあってはいけない。改善第一に議論をし、条例化することで方向性を共有すべき。

生野区の地域からは「今このタイミングで学校再編をしなければ高齢化が進む」という声が出ている。先送りした責任は誰も取れない。決断する責任が必要。

長岡ゆりこ市議(共産)

反対の立場から討論する。

条例案では、小学校の適正学級規模を12~24学級と決めつけ、小規模校の統廃合を強行するルールとなっている。文科省の手引きでは、統廃合は一方的に進めるべきではないと明記されている。住民合意がまとまりにくいから条例化するというのは許されない。

条例案が発表されてから短期間に8500人の市民の署名が集められた。受け止めるべき。

塩草立葉小学校の保護者から声が寄せられている。「4年前に統廃合となり、幹線道路3本と踏切を渡って通学している。統廃合から3年後に児童が増加して校舎増築工事がおこなわれ、工事終了後も運動場が狭くなる。当初は近くの閉校となった特別支援学校の運動場を第二グラウンドとして体育の授業で使用すると説明を受けたが、実際には休み時間に着替えて移動するのは難しく、使われていない」。口約束で不利益を受けたことになる。子どもたちのためと言いながら、子どもがぎゅうぎゅう詰め。これが統廃合を進めた結果。

小規模校の鶴橋小学校の保護者は、このように話している。「入学式の時に2年生から6年生まですべての子どもが迎えてくれて感動した。少ない人数だから学年の枠を超えて仲良し。勉強もていねいに見てもらえてやる気にもつながる。小規模校だから良かった」。いじめが起きたときにクラス替えがない・人間関係が固定化されるから小規模校はデメリットとする意見もあるが、目が届くからいじめがない、人間関係がうまくいくということになっている。

適正規模そのものを見直すべきだと考える。文部科学省は18学級が上限の目安としているのに、大阪市は24学級と基準を緩めている。また小規模校の統廃合をいう一方で大規模校の教育環境悪化は後回しにしている。行政としてのコスト削減ではないか。

大阪市では、中心部で人が増える一方、周辺部では人が減り、統廃合でますます人が減る。地下鉄延伸などの課題がある生野区のみならず、ほかの地域・大阪市どこでも、人を呼び込む施策が必要。政令指定都市の強みを生かしたまちづくりを求める。

大阪市は住民の意見を「聞きっぱなしではない」という。それならこれまで通り指針に沿った話し合いのプロセスを経ればよく、条例化することは必要ない。大阪市は学校統廃合・再編ありきで条例化しているとしか思えない。

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