「スマホ・ゲーム使用時間ルール化」提言:大阪市長

松井一郎大阪市長は2020年1月15日の総合教育会議で、「不登校の要因の一つはスマホやゲーム依存にある、とする調査結果もある」として、使用時間を条例でルール化することも視野に、実効性ある対策を取ることを市教委に提案した。

スマホ・ゲーム使用時間の規制について、強制力や罰則は難しいとしたものの、「ルールを作ったことを示すことが、不登校減少に大事かもしれない」という趣旨を述べたという。

しかしこの言い分は、見当外れであり、とんでもないことである。

不登校の要因を「個人の問題」にすり替え

不登校の要因は「スマホ・ゲーム依存」に矮小化できるものではない。もっとも大きい要因として指摘されているのは、いじめなど児童・生徒同士の問題、管理統制的な集団主義などを背景とした教師との関係など、学校の体制に原因を見いだせる内容である。

とりわけ大阪市では、不登校児童生徒の全児童生徒数に占める率は全国平均を大きく上回っているとも指摘されている。

全国的にも児童生徒を不登校に追い込むような「学校の息苦しさ」は指摘されているが、大阪市では維新の市政になってから特に、学校現場への締め付け・管理統制の強化が進んでいる。

「ゼロ・トレランス」を軸にした「学校安心ルール」は、2014年に橋下徹の発案で導入されたものである。そのほかにも、全国学力テストの学校平均点を学校選択制の資料に使うなど学校間・地域間競争の激化、大阪府の「チャレンジテスト」に加えて大阪市独自のテストも上乗せで実施されることなどもある。児童生徒だけでなく教職員をも締め付け、勤務評定などにも左右することも、さらに拍車をかけている。

それらの教育行政の問題点から目を背け、直接の因果関係が薄い「不登校」と「スマホ・ゲーム」を無理やり結びつけることで、児童生徒個人の問題にすり替えていることにもなる。容認できない。

私的領域への介入

個人の判断や家庭教育の領域に属することについて、行政が公的に介入しようとしていることも、重大な問題点である。

スマホの使い方などは、本来は家庭教育の領域であり、家庭が適切に対応すべきものである。教育行政が学校教育として干渉・介入することが適切だとは思えない。

(参考)
◎スマホやゲームの利用「ルール化を」大阪市長(産経新聞 2020/1/16)