大阪市は2020年1月15日に総合教育会議を開き、市立小中学校統廃合を行政主導で強力におこなえるようにする条例改正の方針を正式に示した。

2020年2月議会に関連条例改正案を提出したいとしている。
学校統廃合については、文部科学省が学校の適正規模の基準を示しているが、統廃合などについては各学校・地域の裁量としている。大阪市でも独自に学校の適正規模の基準を示し、基準が下回る学校については統廃合を進める方針としている。
これまでの大阪市では、地域住民の合意が重要として、統廃合対象校となった場合でも慎重な折衝が進められてきた。その一方で維新市政になってからは、当時の市長・橋下徹が打ち出しその後継者も継承している方針により、学校統廃合のペースが急速になっている。
地域合意ができて統廃合が実現したところもあるが、生野区西部地域(12小学校・5中学校を4組の小中学校に再編)のように、行政が計画を進めるものの地域住民からの反対や不安の声が続出している地域も生じている。
維新市政のもとで行政から「押しつけた」統廃合計画がうまくいかないから、条例化することによって、住民軽視で強硬に進めようとしているという意図を感じる。
学校統廃合については現にその学校に通っている児童生徒だけでなく地域のまちづくりにもつながることであり、どの地域でもていねいな合意形成が必要になってくる。しかし大阪市・維新市政のやり方では、大きな悪影響が出ることになってしまう。
市政与党の維新は、どの分野でも異論や反論を敵視し、自分たちの主義主張を強引に押し通そうとする傾向を持っている。
2019年10月の市会教育こども委員会では、生野区の学校再編計画について「地域住民の意見を踏まえて、一度立ち止まって慎重な検討をすることを求める」とする陳情書が出たことについて、維新市議が陳情に否定的な議会質問をおこなっていた。

2019年10月2日大阪市会教育こども委員会 杉村幸太郎市議(維新)
しかしながら、今後さらなる少子化を迎え、このような方策で将来にわたって持続可能な学校経営が可能でありましょうか。基本的な枠組みの策定と話し合いのルールをしっかりと決めて、スピード感を持って進める時期にも来ております。
また、統合の提案があるたびに陳情が上がって市会で審議することも課題であります。法令上、進め方や着手の基準などが決まっていない以上、それは児童・生徒の推計や校地と校舎の計画策定などを考慮して、行政が全市的な観点から進めるべきもので、個々に市会が判断することにはなじまないのではないかと考えております。
今回の条例化も、その延長線上にあるものだと感じる。