大阪市、小学校統廃合を事実上明文化する条例改正検討

大阪市教育委員会が、市立小学校の統廃合を進めるため、適正配置を明文化する条例を検討していることがわかった。毎日新聞(ウェブ版)2020年1月9日付が報じている。

「大阪市立学校活性化条例」を改正する方向で検討している。2020年1月15日の総合教育会議で検討したうえで、2月議会に提出して可決成立を目指し、成立の場合は2020年4月施行を目標にしているとしている。

文部科学省などによると、学校の適正規模について条例レベルで明記するのは、ほかに例がない、おそらく初めてのケースになるのではないかとされている。

適正配置を明文化することによって、学校統廃合を強力に進める根拠になるともみられる。児童生徒・保護者や地域の意向が無視されることにもつながりかねない。

「学校の適正規模」とは?

文部科学省は学校の適正規模について「12~18学級」とし、最終的な判断は学校設置者の各自治体の裁量としている。

大阪市では文科省方針を具体化させる形で、2010年に市立小学校の適正規模を「12~24学級」とした上で、2014年には「11学級以下の小学校は統廃合を目指す」とした。

しかしながら、学校の適正規模についてはあくまでも「教育行政としての見解」であり、児童生徒・保護者・教育現場・地域の観点や教育学的な観点から幅広くその認識が共有されているというわけではない。少人数教育のメリットについても同時に指摘されているものでもあり、機械的に「行政が定めた適正規模を下回ったから」とはいいきれない状況でもある。

統廃合の強制につながる危険性

学校統廃合を積極的に進める維新市政のもと、大阪市では2010年代半ばから小学校の統廃合事例が増えるようになった。関係地域の合意が得られて統廃合となった地域・学校も一定数ある。

その一方で、大阪市教育委員会が生野区役所とともに具体化させた、生野区の西半分にあたる地域の12小学校と5中学校を4組の小中学校に再編して小中連携教育とする「生野区西部地域学校再編整備計画」は、「子どもの足で40分かかる地域が出るなど遠距離通学を余儀なくされる」「学校をなくすと災害時の地域の避難場所もなくなるのではないか」など、地域からの強い反対や疑問の声が起こり、市・生野区の当初計画通りに進んでいない状況となっている。生野区の統廃合計画では、統廃合方針そのものが具体化していないのに、市・区の構想を前提にしての「廃校後の跡地活用方針」まで先に出しているという奇妙なことも報告されている。

大阪市学校統廃合計画に対象地域からの疑問多数
大阪市会は10月2日の教育こども委員会で、『「生野区西部地域学校再編整備計画(案)」を「統廃合ありき」ですすめるのではなく、市議会の質疑、区政会議の議論にもとづき、いったん立ち止まることを求める陳情書』を審議した。 大阪市生野区では、...

条例案によって、生野区の関係地域での市民の声を封じるのではないか、また将来的にも学校統廃合計画が俎上に上がった学校・地域について、住民不在で統廃合を進めていくのではないかという危惧を感じる。

その学校で学ぶ児童生徒や保護者・地域住民を置き去りにして、行政の一方的な基準に当てはめて強引に進めるような手法は、教育的な観点からも、まちづくりの観点からも、よいものとはいえない。