2020年に向けて:中学校教科書採択問題

2020年は、夏に中学校教科書採択がおこなわれる年となっている。

採択対象となる教科書の検定結果は2020年3月に発表される見通しとなっている。社会科の歴史的分野および公民的分野では、日本会議が背後にいるとされる「日本教育再生機構」が母体となって編集した育鵬社教科書や、それに類する歴史修正主義的な教科書が引き続き登場し、採択の争点となると予想される。

育鵬社教科書については、学問的に共通認識とされている内容からかけ離れている一方的な見解に沿って書かれていることや、復古主義的・保守反動的な政治イデオロギー押しつけ傾向も強いことなど、内容のひどさも問題である。

同時に、当該教科書を支持する首長や教育委員などによって、採択ルールをゆがめると受け取れるような強引な形で押しつけられる事例が多発している問題もある。

前回育鵬社教科書が採択された地域、また採択の危険性が指摘されたものの採択には至らなかった地域はもちろんのこと、すべての地域で、教科書採択をめぐる状況について注目していきたい。

また安倍内閣のもとでおこなわれた教科書検定基準の改訂によって、社会的・学説的な見解が分かれうる内容を扱うときには政権寄りの記述を求められる傾向が強まっている。このことを背景に、他社教科書についても、単元によっては疑問が生じる記述が出ることも想定される。

育鵬社やその亜流は論外だとしても、他社教科書についても内容をていねいに検討した上で、よりよい教科書が採択されるよう注視していきたい。