給食費「未払いは親のモラル」と矮小化でいいのか?

 「リテラ」が2019年12月28日付で『給食費未払いで滝川クリステル、長嶋一茂らが貧困を無視し「親のモラル」と糾弾!バッシングを仕掛けたのは安倍首相と「親学」一派』と題した記事を配信している。

給食費未払いで滝川クリステル、長嶋一茂らが貧困を無視し「親のモラル」と糾弾!バッシングを仕掛けたのは安倍首相と「親学」一派 - 本と雑誌のニュースサイト/リテラ
 また安倍首相の無策ぶりが露呈した。今年1年間に生まれた子どもの数を示す「出生数」が初の90万人割れとなる見通しが発表されたことを受けて、安倍首相は26日…

 2019年12月に放送されたあるテレビ番組で「給食費未払い」の話題になった際、その番組では「給食費未払いは親のモラルの問題」かのように一面的に扱った番組構成がされ、コメンテーターだった複数のタレントが親を糾弾する発言をおこなったと紹介している。

 一方で「リテラ」の記事では、「子どもの貧困の問題を無視している」と、この番組での取り上げられ方に疑問を抱く見解を出している。

 「リテラ」では、番組で「親のモラル」に矮小化する根拠となったのは、文科省の調査にあると指摘している。調査手法や分析手法に問題があり、背後にある「子どもの貧困問題」を無視して「親のモラル」にのみ原因を求める「給食費未納バッシング」へとつなげられたという指摘である。

 そして、給食費未納バッシングを仕掛けたのは、「親学」を背景にした第一次安倍政権だったという指摘もされている。

 「親学」は、高橋史朗氏が提唱した「幼児期の愛着形成が子育てに重要」「親の教育が重要」などとした概念である。復古主義的・極右的な政治家と親和性が高いとされる一方、「発達障害は子育てが原因」など非科学的な内容もみられ、オカルト・ニセ科学のたぐいであるとも指摘されて批判・警戒されている。

 第一次安倍政権当時、「給食費未納」を「親のモラル」にすり替えることを通じて、「親の再教育」口実で「親学」を持ち込もうとしたという指摘。教育再生会議が2007年、そういった方向を軸とした「『親学』に関する緊急提言」をまとめ、発表寸前までいったものの、事前にマスコミが察知して報道し、大きな批判が起きたことで正式発表を断念したことを指摘している。

 記事での指摘は、深刻なものとなっている。

 学校給食の問題については、子どもの貧困問題や、食育の重要性が指摘されるようになったこともあり、学校教育としての位置づけを強めていくべきだという風潮になっている。行政として学校給食の無償化や保護者負担軽減を図る動きなど、学校給食への援助強化が各地で取り組まれている。

 その一方で、国レベルでは政権が、給食費の問題を「親のモラル」に矮小化するようなことをしていた、しかも背景には「親学」があったという指摘は、時代に逆行するものになってしまっている。

 給食費については、「親のモラル」と一面的に扱う考えは古いものだといえる。一方的なバッシングにつなげるのではなく、教育の一環と位置づけて公的な支援を少しでも強めていくことが必要ではないか。