鳥栖いじめ訴訟、いじめ認める一方で市の責任認めず:佐賀地裁

 佐賀県鳥栖市立中学校1年だった2012年、同級生から激しいいじめを受けて重度のPTSDを発症したとして、被害に遭った元生徒の男性が加害者とされる元同級生8人とその親権者、鳥栖市を相手取り計約1億2800万円の損害賠償を求めていた訴訟で、佐賀地裁は2019年12月20日、いじめを認定して加害者8人に対して合計約400万円の損害賠償を命じる判決を出した。

 一方で保護者や鳥栖市への請求は棄却した。

いじめの状況

 被害生徒は2012年の入学直後から約7ヶ月間にわたり、被告となった加害者8人を含む十数人の生徒から、「殴られる」「蹴られる」「プロレス技をかけられる」「エアガンで撃たれる」「殺虫剤を顔面に吹きかけられる」「カッターナイフやのこぎりを突きつけられる」などの暴行を継続的に受けた。また現金約100万円以上を恐喝されるなどもした。加害行為は約150点にわたって指摘された。

 担任だった女性教諭は暴行の様子を目撃しながら放置し、対策を取らなかった。

 生徒は2012年10月に登校できなくなり、いじめが発覚した。

 生徒側が起こした訴訟では、加害生徒、保護者、鳥栖市とも請求棄却を求めていた。

 加害生徒は、被害者から指摘されたいじめについて認めず、「ちょっかいは出したが、いじめとは思わなかった」「お金は受け取ったが脅していない」と主張した。

 また鳥栖市は、「加害行為の回数や金額など、原告の主張は過大」「教諭らは本件を予見できなかった」と主張した。学校側の調査がまとまった2013年1月当時、教育長が記者会見で「いじめではなく犯罪行為に等しい」などと発言したことについて裁判で問われると、鳥栖市は「当時の調査は、母親が激しく抗議するなどしたことで、従わざるをえなくなったもの。調査結果は疑問」などと言い訳したという。

いじめは認められたが

 判決では、加害生徒らにいじめがあったことは認められたと読み取れる。その一方で、学校側の安全配慮義務違反について認められなかったとも解釈できる。

 いじめを認めたことを評価するのか、それとも学校側の安全配慮義務違反も引き続き問い、控訴審で認定を広げることを求めるのか。そのことについては原告側自身の判断であり、ここではなんともいえない。

 その一方で、市の対応は不可解に感じる。