兵庫県尼崎市立中学校2年だった男子生徒が2018年11月に自殺し、「神戸市立小学校に通っていた頃にいじめを受けその後遺症ではないか」と指摘された問題で、神戸市教育委員会が第三者委員会を設置し、11月29日に初会合が開かれた。
生徒は神戸市北区内の神戸市立小学校に通っていた。当該校には5年時(2015年)の2学期に転入したという。6年生だった2017年3月、机に「死ね」などと落書きされるなどした。当時学校側が調査したが、書いた人物などは特定できなかった。
生徒は地域の神戸市立中学校に進学したものの、小学生時代のいじめがトラウマになって、1年時の2017年秋に兵庫県尼崎市に一家で転居し、尼崎市立中学校に転校した。転校後も体調不良状態が続き、2018年11月19日に自殺した。

生徒の家族は、「小学生時代のいじめがトラウマになっていた。いじめの後遺症が原因ではないか」と訴えているとされる。また転校先の尼崎市立中学校では、転入後当該校でのいじめは確認できなかったとしている。
第三者委員会の初会合では、生徒の家族の意向を十分に踏まえた上で、当時通っていた小学校の同級生や教職員へのアンケート調査や聴き取りなどをおこなう方針を確認した。またいじめについても、常態化していなかったかどうかも調べる方針だとしている。
一方で、生徒の同級生は現在中学校3年で高校受験を控えているとして、同級生への調査・聴き取りは高校受験終了後の2020年春以降にするともしている。報告書は約1年後、2020年の年内をめどにまとめたいとしている。
いじめについては、実際に被害を受けなくなった状況になっても、時間が経ってから後遺症が出たり悪化することもある。
過去のいじめ事件では、いじめの後遺症については「いじめから時間が経っているから認められない」などと判断するケースも多かった。その一方で、いじめ後遺症が原因だと強く疑われるケースもあり、また実際にいじめの後遺症が認められたケースもある。
今回の事例についても、ていねいな調査の上で適切な認定がされることを願う。