大阪市で学力テストの成績を教職員評価に連動させるとした問題。
吉村洋文大阪市長(当時。現・大阪府知事)は2018年8月、全国学力テストの学校別成績を教職員評価に連動させる方針を発表した。

その後の総合教育会議で、大森不二雄・大阪市特別顧問の意見を入れる形で修正を図った経過がある。


この仕組み作りに関連して、吉村市長は大森特別顧問と私用メールで意見交換をおこなっていたことが指摘されている。私用メールでのやりとりが公文書として保管されず、非開示となっていることが問題になっている。

この問題は2019年10月下旬以降、各マスコミで断続的に報じられている。
「私用メール」問題
教職員評価に関するやりとりの資料について、市民団体が大阪市教育委員会に情報公開請求をおこなった。
2019年5月、関係資料の一部が開示された。大森特別顧問から市教委事務局に送られたメールの中に「市長の意見を踏まえた修正案」「重要ですのでお目通しください」などとして、吉村氏の私用メールアドレスから大森氏へ送付したメールの内容を、大森氏が市教委事務局宛に転送したことをうかがわせる内容があった。

吉村氏と大森氏は、私用メールアドレスで「原案」「修正案」などの政策立案に関わる協議をおこなっていたことが、強くうかがわれることになる。
しかし吉村氏から大森氏へのメールの原文は「公文書ではない。不存在」として開示されなかった。
政策的な意思決定プロセスは?
テストの学校平均点を教職員の評価に使用するという発想自体、教育の観点からは問題外レベルの愚策ではある。
打ち出した政策そのものも問題ではあるが、それ以前の段階の話として、政策立案・意思決定の過程としても極めて不透明である。
重大な意思決定過程に関わる経過の論議を公的な場ではおこなわず、私用メール、すなわち私信の形でおこなっている。
この件は私用での連絡ではない。大阪市の教育政策に関わるものである。それを私信の形でこっそりとまとめ、さらには2人の私的なやりとりの中でまとまった方向性を、公的な意思決定として押しつけているような形にもなっている。
「行政の私物化」と厳しく批判されてもおかしくないものではないか。