神戸市教員暴力:「加害教員の給与差し止め」条例可決へ

 神戸市立東須磨小学校の教員4人が同僚教員に対して悪質な暴力行為・ハラスメント行為を繰り返していた問題に関連して、久元喜造神戸市長は10月28日、4人への給与差し止めなどを可能にする条例改正案を神戸市会に提出した。

 当該教員は2019年10月1日より校務から外れているものの、「自宅謹慎制度がない」として有給休暇扱いとなっているという。そのことに批判が起き、条例案提出に至った。

 市会総務財政委員会で10月28日に可決し、本会議でも10月29日に成立の見込みとなっている。

 条例案は、地方公務員法で定められた内容に独自の追記をおこなうような形で、(1)懲戒免職処分などに相当する重大な非違行為がある、(2)刑事事件で起訴されるおそれがある、(3)引き続き職務に従事すれば公務に支障が生じるおそれがある、の3要件を満たした場合に分限休職を可能とし、その間の給与差し止めができるとする内容。

 一方で市議からは「恣意的な運用を防ぐ手立てが必要」「分限措置を検討する際は審議会に諮問することを明文化すべき」「起訴されるおそれとは、誰がどう判断するのかが不明確」などの意見も出されたという。

加害者からの「逆襲」の恐れは?

 加害者教員4人のしたことは、これまで明らかになっている範囲だけでも極めて悪質であり、懲戒免職も含めた厳しい措置も検討されるべき案件である。また刑事事件としての立件もありうるほど悪質な内容で、さらには職務に従事することで支障が生じかねないケースではある。

 しかしその一方で、条例案については法的な齟齬がないのか慎重な検討が必要になってくる。加害者教員のしたことはとうてい許されることではないが、その一方で感情にまかせて法的に穴がある条例を作ってしまうと、加害者がそこを逆手にとって逆に処分できなくなったりとか、処分不当を主張する危険性も出てくる。

 現行法の枠内でも、児童生徒への暴力行為・いわゆる「体罰」や「教師による児童生徒へのいじめ行為」などで処分された教師が処分不当を主張して、処分対象となった事実そのものはあったと引き続き認定される一方で、裁判や人事委員会裁定で処分の撤回や軽減などがおこなわれるケースもいくつかあった。

 今回の教員4人についてもそういうことにさせないためにも、条例案を作るにしても緻密な内容が必要になってくる。しかし「恣意的な運用を防ぐ手立てが必要」という指摘、言い換えれば加害者側からの「逆襲」の余地を与えるとも受け取られかねないようなことでは、一度厳しい処分をしても後でこっそり撤回されて何事もなかったかのように復職、という最悪の状況すら考えられる。

 また「恣意的な運用の可能性」が指摘されているということは、今後恣意的な運用でおかしな認定をされるケースも想定されることにもなり、その意味でも危険といえる。

ずれた対応に危惧

 この件だけではないが、事件に関する神戸市および市教委の一連の対応については、事件を口実におかしな方向に持って行きかねないと思われる内容もちらほらと散見される。

 加害者への厳正な対応はもちろんのことだが、同時に被害に遭った教員へのケア、児童へのケア、学校現場の建て直し、このような事件が再び起きないような体制づくりなど、多方面からの対応が求められている。しかし「給食のカレー自粛」「市の小学生陸上記録会で学校名をアナウンスしない」とか、そこなのかと思うような内容ばかりがやり玉に挙がっているような気がしてならない。