萩生田文科相「身の丈」発言に波紋広がる:大学入試の英語民間試験

 萩生田光一文部科学相は2019年10月24日のテレビ番組で、大学入学共通テストに導入される予定の英語民間試験について「身の丈に合わせて」などと発言し、波紋を呼んでいる。

 大学入学共通テストでは、英検やTOEICなどの英語民間検定試験を併用し、民間試験の受験を大学受験の出願基礎資格にしたり、民間試験の成績を加点するなどの措置がとられることになっている。民間試験は1年あたり2回まで受験できることになっている。当面は共通テストと民間試験を併用して実施するが、将来的には英語の成績は民間試験のみで判定される方向へと移行することになっている。

 しかしこの措置については、高校の英語教育と民間試験は目的が異なることや各試験間の成績評価を同一基準で比較できないことなどから判定が困難とする問題のほか、民間試験では1回あたりの受験料が高額になること、受験会場の設営などに地域差が出かねないことなどで、家庭の経済力や在住地域などの出自で受験機会が左右されかねないという深刻な問題が生じている。

 家庭の状況によっては、経済的に何度も試験を受けるのは困難になってくる。さらに地方在住だと、自宅から近い地区で民間試験が受験できるかすら不透明になり、受験料のほかに試験会場に行くだけで高額の交通費や宿泊費を要することも考えられる。

 萩生田文科相はこれらのことについて、「自分の身の丈に合わせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」「人生のうち、自分の志で1回や2回は、故郷から出てね、試験を受ける、そういう緊張感も大事かなと思う」などと発言した。

 このことについて批判が巻き起こっているという流れ。

 この問題は、個人の努力や学力などの話ではなく、家庭の経済力や居住地などの出自によって受験機会が左右されかねないという深刻な問題となっている。そういうことを無視して「身の丈」という言葉で片付けるのは、おかしいのではないか。格差や社会階層を固定化するとも受け取れる文脈にもなっている。

 教育の機会均等などの憲法の理念は、こういう格差を埋めていくことが要請されているのに、こういう措置は逆行していることにもなる。文科相が「身の丈」などと発言して、教育の機会均等をないがしろにしたり格差を固定化するとも受け取れるような対応は、不適切ではないか。