神戸市教員暴力:加害者は「人権教育強化」で呼ばれた?

 神戸市立東須磨小学校の教員間暴行・暴言問題で、神戸新聞2019年10月26日付が「緊急報告 東須磨小教員暴行【下】神戸方式」という記事を出している。

神戸新聞NEXT|総合|緊急報告 東須磨小教員暴行【下】神戸方式
 加害教員4人のうち、主導的な立場だった30代の男性教員は「神戸方式」で前々校長が引っ張った-。 神戸市立東須磨小学校(同市須磨区)の教員間暴行・暴言問題で、複

 記事によると、神戸市の教職員人事異動の「神戸方式」について解説し、事件の背景には「神戸方式」も関係しているのではないかと指摘している。

 異動対象者の氏名・年齢・住所・勤務希望地域などを記した一覧リストが前年度冬に校長のところに届く。校長は、自校から転出する可能性がある異動対象者を確認した上で、後任候補の教員をリストの中から指名できるシステムだということ。異動候補の教員本人と現在籍校校長に面談を申し入れ、異動の同意が得られれば市教委に届け出た上で、市教委は当事者間の希望を元に新年度の異動発令を出すとしている。

 教員側にとっては家庭の事情・勤務地などの要望に柔軟に対応できることや、また校長にとっても学校経営上重点的に取り組みたい分野・課題に強い教員を呼び寄せることなどのメリットがあるという。

 神戸市教育委員会はかねてから、「神戸方式」の廃止を数年がかりで検討していたとされる。この事件とは無関係に、廃止の方向でまとまっていたとされている。

首謀者格は「人権教育強化」で呼ばれた?

 記事では「神戸方式」について中心に記している。「神戸方式」のシステムそのものに欠陥があるというよりも、それが悪用されたことが問題ではないかともうかがわれる状況も、記事の行間を通して浮かび上がってくる。

 神戸新聞では「主導的な立場だった30代の男性教員」と記されている加害者教諭の一人・STについて、当該校への人事異動の背景を掘り下げている。この教諭は「羽交い締めで激辛カレーを食べさせる。車の上に乗る。各メディアで繰り返し流れた動画や画像に写る、あの男性教員」だという。

 事件のあった東須磨小学校は2017年度、人権教育を推進する指定校となっていた。前々校長(2014~17年度在任、2018年3月退職)が、人権教育の研究発表体制の強化のために、市の小学校教員で作る「人権教育部会」のセミナーに積極的に参加していたSTを指名して「神戸方式」で異動させたと指摘されている。

 STは4年連続で6年担任になるなど、異例の校内人事配置があったと指摘された。STの数々の暴力行為やハラスメント、ほかの教員を呼び捨てにしたり威圧的な態度をとるなどの乱暴な態度の背景には、前々校長からの「威光」が働いたという見方をする関係者もいるという。またSTは、前校長(2016~2017年度は東須磨小学校教頭)とも、前任校の箕谷小学校でも一緒になるなど親しい関係にあったことも指摘されている。

 「人権教育の積極的な担い手」と見なされていた教員が人権侵害の先頭に立った例として、2006年の福岡県筑前町の中学2年男子生徒いじめ自殺事件を連想してしまった。この事件では加害者グループの生徒による被害者へのいじめのほか、学年主任および教科の授業担当で被害生徒の1年時の学級担任でもあった教諭が被害生徒へのいじめをあおり、被害生徒のみならずほかの生徒にも日常的に暴言や差別的な発言をおこなっていたことが指摘された。学校そのものも、またいじめを煽ったとされる教諭も「人権教育を偽装した解放教育」に熱心だったことが事件の背後にあったとも指摘された。

 もっとも今回の当該校の件については、そういうおかしな「人権教育」の意味なのか、そういう背景のない通常の意味なのかは、現時点でははっきりしない。

 いずれにしても、人権教育に熱心とみられてきた・ないしは自負しているものが、犯罪レベルの悪質な暴力・人権侵害行為をおこなう先頭に立っていたということになる。このような「人権教育」など、背後関係に関わりなくありえないことである。

 「人権教育」がいじめや暴力・人権侵害正当化の隠れ蓑にさせられるなど、全くの問題外である。「人権教育」に関する体制も慎重に検討を加えるべきではないのだろうかと感じる。