組体操事故で51人が負傷:神戸市の小中学校

 神戸市教育委員会は10月7日、市立小中学校の運動会での組体操について、2019年2学期(8月末~10月第1週)に30校の計51人が練習中に負傷し、うち6人が骨折していたと発表した。

 秋に体育行事を開催した168校(小学校87校、中学校81校)のうち、組み体操を実施したのは92校(小学校65校、中学校27校)。92校中30校で事故が発生したことになる。いずれも練習中の事故だという。全校で体育行事の日程が終了したことに伴い、状況をまとめた。

 神戸市の組体操問題については、過去3年間に123件の骨折事故が起きていたことが明らかになっている。久元喜造神戸市長は2019年8月に組体操の見合わせを市教委に要望し、またツイッターや個人ブログでは学校関係者に向けて「やめる勇気を持ってください」と呼びかけるなど、組体操実施に批判的な見解を書き込んでいた。

 一方で神戸市教育委員会は、「一体感や達成感が得られる演目」「すでに練習を始めた学校もある」として、教育委員会としては各学校に対して安全対策を強化すること・危険と判断した場合は中止の判断をおこなうことなどを求めるのみで、実施見合わせなどの措置には踏み込まなかった。実施は各学校の判断に委ねられ、自主的判断で中止を決めた学校が約20校あったものの、通常通り実施した学校もあった。

安全確保と、政治介入にならないような配慮の両立を

 市長の主張の中身そのものは、理解できるものである。一方で教育への政治介入にもなりかねないという別の課題もあり、客観的な状況としては正しい主張をおこなっているとはいえども、市長の立場からは一方的に教育現場に押しつけられる性格のものではないという問題もある。教育行政の独立性を保持し政治介入を避けることに注意を払うという意味では、慎重に対応すべきだという論点が出てくる。

 「教育委員会の独立性確保が重要ではないか。市長が組体操問題や小学校建て替え工事などで教育委員会を批判するような内容をSNSで発信するなどした行為は、教育介入になり憲法違反にあたるのではないか」と、2019年9月28日の神戸市会の本会議で市議から質問が出ている。久元市長は「憲法違反にはあたらないと考えている」と答弁した。

 一般的にいえば、教育委員会の独立性を確保すること・政治介入を避けることという観点は重要になってくる。今回の場合はたまたま市長が「正しい」主張をおこなっているものの、システムとして首長の個人的な意向に左右されることになってしまうと危うさが出てくる。大阪府・大阪市では、維新首長が学校教育現場への政治介入と「ありえないレベルのおかしなこと」の押しつけを繰り返し、教育現場が混乱に陥れられるケースが出た事例が多数ある。そのようなことを避けるためにも、教育委員会の独立性や政治介入の課題についてはていねいに検討する必要がある。

 その一方で事故が続発し、実際に子どもが危険にさらされているという実態もある。「市長の見解だから」という意味ではなく、客観的な事実として重く受け止め、学校現場の課題として自主的に対応し解決することが必要になる。科学的な知見を踏まえながら、事故防止の取り組みを進め、場合によっては中止なども含めた判断を自主的にとっていくことが求められる。