大阪市学校統廃合計画に対象地域からの疑問多数

 大阪市会は10月2日の教育こども委員会で、『「生野区西部地域学校再編整備計画(案)」を「統廃合ありき」ですすめるのではなく、市議会の質疑、区政会議の議論にもとづき、いったん立ち止まることを求める陳情書』を審議した。

 大阪市生野区では、区西部の12小学校・5中学校を4校の小学校および4校の中学校に再編して小中一貫教育をおこなう・義務教育学校の設置も視野に入れるとする計画が、大阪市教育委員会および生野区役所によって出されている。

 しかし統廃合計画には、地域からは強い批判と疑問の声が出ている。子どもの足で通学に徒歩40分以上かかる場所が出るなどして通学に不便なこと、また学校が遠くなることで街づくりにも支障が出ること、住宅密集地域でもあり災害時など万が一の際の避難場所がなくなるかもしれないこと、などの課題が指摘され、地域合意が得られていない状態となっている。

 にもかかわらず、統合新校開設年度だけでなく学校跡地利用構想まで一方的に発表されるなど、行政側の統廃合計画先にありきで進めていることで、混乱に拍車をかけている。

市会委員会での質疑

 この日の質疑では、維新・自民・共産の各会派の市議が質問に立った。

 維新市議は「統廃合賛成の意見も地域からは多く出されている」「事実に反する内容のビラが地域でポスティングされている。そのビラを作成したのは、今回の陳情書を出したのと同一団体」など、陳情を批判するような質疑をおこなった。さらに「統廃合のたびに陳情が上がるのは課題。市会で個別に判断するものではない」など、統廃合に対して地元の住民が意見を言うのはおかしいと受け取れるような主張もおこなった。

 一方で自民党や共産党の市議からは、「大阪市が進めている学校統廃合は、住民感情とは乖離している」「市教委は『統廃合は地元合意によって進める』と表明したにもかかわらず、地域での合意が得られていないのに、新校の開校時期を先に具体的に決めているのは問題。しかも学校跡地活用構想まで出されているなど問題外」など、一方的な統廃合計画への疑問が出された。

 「対象校地域の学校協議会は、地元として統廃合方針の承認を決定したのか」という質問が出たものの、市教委は言葉を濁すだけだった。市教委は「場合によっては、同じ中学校区内でも合意を得られた地域の小学校と中学校を義務教育学校に改編したうえで、校区から反対の意見が強い小学校はそのまま存続する。当該小学校卒業生は統合後の義務教育学校に7年生から編入する形にすることもありうる」とも言及した。

 陳情は、自民党と共産党が採択を主張した。公明党は継続審査を主張した。維新は陳情の不採択を主張した。しかし採択・不採択・継続審査のいずれの主張も過半数に満たなかったことから、委員会では継続審査となった。

一方的な押しつけは好ましくない

 学校統廃合の問題は、児童・生徒の学ぶ条件に大きな影響を与えるだけでなく、地域のまちづくりのあり方にも関わってくる。

 小学校への通学に片道40分以上かかる地域が出ると指摘されていることなど、これでは子育て世代がその地域への定住・転入を敬遠するリスクともなり、まちづくりにも影響が出ることにもなる。また、1学年1学級では問題がある・学級数や人数が一定規模以上あることが適正という考え方もあるが、それが必ずしも普遍的に当てはまるかも疑問で、小規模校ならではのきめ細やかな指導の良さなども指摘されている。

 学校統廃合については、仮に進めるにしても、地域の意見をていねいに集約していくことが必要になる。しかし生野区では、区の西半分にあたる広い地域にわたって大規模な統廃合計画を進めた上に、地域合意も得られないままに統合校開設年度を一方的に示したり、あげくの果てには統廃合後の学校跡地活用構想まで先に打ち出す状態となっている。

 これでは一旦立ち止まって、白紙の状態から仕切り直しをする必要があるのではないか。

 一方で、地域からの陳情を攻撃するような、維新市議の質疑の内容には違和感を感じる。役所のやることには文句を言うな、黙って従えとばかりの態度は、極めて危険だと感じる。