沖縄県八重山地区、2019年採択でも育鵬社公民を継続採択

 沖縄県教育委員会は2019年9月12日の教育委員会会議で、県内での2019年教科書採択状況を発表した。

 中学校教科書については、2020年度1年間使用するものは、全採択地区・全教科とも2015年採択(2016年度~19年度使用)と同一のものとしたことが報告された。

 石垣市と与那国町からなる八重山教科書採択地区では、中学校社会科公民的分野で、育鵬社教科書が2011年・15年に続いて継続採択されたことになる。住民からは審議状況の公開を求められていたものの、採択会議は非公開で実施され、2019年8月2日に採択会議が開かれていたという。

八重山地区での教科書採択

 八重山地区では2011年採択に際して、八重山教科書問題が起きた。同年の採択地区の会議では、育鵬社教科書を推す関係者が強引な組織運営をおこなうなどして、地区として育鵬社教科書を採択させた。一方で当時採択地区に加わっていた竹富町は、現場からの意見を踏まえ、また地区での選定過程が不透明なことを問題視し、以前から使用していた東京書籍の継続採択を決めた。

 この際に、採択権限が教育委員会にあるとする地方教育行政法と、同一採択地区内で教科書を統一するよう求める教科書無償措置法との規定の矛盾が浮き彫りになった。政府は竹富町に対し、地区が選定した育鵬社教科書を採択するよう圧力をかけるなどした。

 2011年の八重山教科書問題を契機に教科書無償措置法が改正され、従来は「市・郡」単位で設定していた採択地区を「市町村」単位に設定することが可能になった。このことを受けて竹富町は2015年以降地区から離脱し、町独自の採択地区での採択となった。

 一方で、2市町になった八重山地区では、2015年・19年の採択ともに、非公開の状況で審議されたことになる。

 育鵬社教科書は、推進派の強引さも際立つ。また教科書の内容についても、学問的には特異な立場から一方的な内容が記載されていることも指摘されている。

 2019年採択にあたっても、強引さや審議の非公開状況は変わっていないことになる。

2020年採択に向けて

 2021年度新学習指導要領実施を踏まえて、新課程対応教科書が2020年に発行・採択される予定となっている。このことから、本来は4年に1度の採択の年にあたっていた2019年採択は、1年間のみ使用の変則的な状況となっている。

 育鵬社教科書は、新課程対応版を出すにしても、現行版とほぼ同じような問題を抱えることが予想される。2020年の採択に向けて、育鵬社教科書の問題点を洗い出したうえで、採択させないような取り組みを強めることが必要になるといえる。