部活目当ての越境通学:「京都新聞」が特集

 『京都新聞』2019年9月5日付に『中学の「越境通学」っていいの? 部活目当て居住地偽るケース「地元の子が試合出られない」』が掲載された。

 京都市立中学校で部活動目的の越境通学が以前から存在するという情報が寄せられ、同紙が取材を進めたとしている。

記事で指摘された内容

 京都市では部活動目的の越境通学は禁止されているが、実際にはおこなわれているケースが複数あることを紹介している。

 かねてから関わりのあった運動部顧問のいた学校に子どもを越境通学させていたと話す保護者、「子どもが通学している地域の中学校では、特定の体育系部活動に競技経験者の越境通学者が集中している。中学校から競技を始めた地元の子が大会に出場できない状態になっている」と話す保護者、「知り合いが子どもを越境通学させていた。中学校進学時に引っ越すと偽って校区内の親戚宅に住民票だけを移し、普段は元の校区外の自宅で生活し、家庭訪問などの時だけ親戚宅で対応していた」という保護者の声が紹介されている。

 一方で、越境通学者が多いと指摘された中学校の校長に取材をおこなうと、「中学校進学直前に住居を校区内に移した新入生は20人ほどいたが、いずれも書類や面談・家庭訪問などで居住実態を確認している」として、越境通学を否定したという。

問題ではないか

 越境通学については、例外的な場合には認められることはある。

 具体的にどんなケースで認定されるかの細かい規定は各自治体ごとによるが、多くの自治体では、以下のような理由での越境通学は認めているようである。

  • いじめからの緊急避難。
  • 障がいなど特別な支援を必要とする児童生徒の場合、対応した特別支援学級等のある学校への通学。
  • 校区と住居の位置関係で、隣の校区の学校の方が、本来の校区の学校よりも近い場合や、通学に安全を図れる場合の調整区域。
  • 学年途中の転居が決まっている際に学年途中での転校を避けるため、引っ越し後から学年末まで従来の学校に通う。ないしは学年開始から引っ越しまでの間にあらかじめ転居先の校区の学校に通う場合。
  • 自宅建て替えや災害罹災などの際の仮住まいで一時的に校区外に仮移転する場合。

 一方で部活動の場合は、「希望する部活動が進学先にないから、設置されている学校に通学する」という理由で認めている自治体も一部にはあるようではある。しかしその一方で、「部活動強豪校」目的での越境通学は認めていない場合も多い。

 京都市では部活動目的や学校の指導力目的での越境通学は一切認めていないとのこと。

 部活動は学校教育の正規の課程ではないが、学校の活動ともされているという位置づけになっている。部活動に異常な比重を置いて重視し、本来の中学校での学習教育活動を蔑ろにするのは本末転倒だということになる。

 一方で学校側・指導者側の一部にも、部活動の成績を学校や教師の指導力としてアピールしようという風潮もある。その影響で、部活動成績至上主義や長時間練習などの「ブラック部活動」問題だけでなく、極端な場合には越境通学などの問題も生じる。

 さらには、県外も含めて全国的に生徒を越境通学させ、地元の支援者などによる非公式の生徒寮に下宿させるなどしていた「部活動強豪校」では、生徒間の悪質ないじめ問題や指導者の不正・暴力行為などの事件が起きていると指摘されたケースも、多くのところで問題になっている。

 部活動を学校教育の中心に据えることは、好ましくない状況を生じさせることになる。少なくとも、学校教育とは明確に切り離した。社会教育の場として再編成すべきではないか。