吉村洋文大阪府知事は9月3日、大阪市長時代に全国学力テストの成績が政令市最下位になったとして、2019年夏ボーナス手取額約70万円を「返上」し、西日本豪雨災害のあった広島市に寄付したいとする意向を示した。
一方でそのことを知った松井一實広島市長は、政治的に利用されるのではないかとする記者からの質問を受け「どういう問題があるか調べたい」と困惑したという。
この間の経過
2018年当時大阪市長だった吉村知事は、2018年度の大阪市の全国学力テストの平均点が政令市最下位だったとして、「成績を上げる」として、「2019年度の学力テストで小中学校いずれかの教科でも政令市最下位になれば、2019年夏のボーナス返上」と打ち出した。

そのことについては、当時から強い批判が巻き起こっていた。
吉村氏は2019年4月に大阪府知事に転出したが、2019年の全国学力テストでは一部教科で最下位となったことを受け、ボーナスを返上して被災地に寄付すると打ち出していた。

直接の返納・受け取り拒否は法律上できないことから、所属する「日本維新の会」を通じて被災地寄付する形にするとした。被災地は広域にわたっているが、吉村氏の親にゆかりのある場所でもあることから広島市を寄付先に選んだという。
政治的パフォーマンスでしかない
しかしこんなものは、吉村氏および維新の政治的パフォーマンスにしかならない。
本気で返納する気があるのなら、一度供託した上で公職を退いてから返納する手段や、特例でボーナスをカットする条例制定などの手法もある。また被災地への寄付というと聞こえはいいが、しょせんは日本維新の会の政治的パフォーマンスでしかない。
政治的パフォーマンスであると同時に、教育的な観点からみても、首長のボーナスとテストの順位を天秤にかけることで、首長の政治介入を強化させることや、テストの平均点や順位至上主義が進むことなど、重大な問題をはらんでいる。