大阪市立の高校、府立移管構想:大阪府・大阪市で基本合意と報じられる

 大阪市立の高校を2022年4月にも大阪府に移管する方向で、大阪府・大阪市の基本合意ができたと、2019年9月2日に報じられた。

 対象となる高校は、以下の21校となっている。

  • 普通科系:桜宮、東、南、西、汎愛、大阪市立
  • 商業科系:淀商業、鶴見商業、住吉商業、大阪ビジネスフロンティア
  • 総合学科系:扇町総合、咲くやこの花(中高一貫)
  • 工業科系:都島工業、泉尾工業、東淀工業、生野工業、工芸
  • その他:水都国際(公設民営・中高一貫)
  • 単位制:中央
  • 定時制:都島第二工業、第二工芸
  • ※このほか、南・西・扇町総合の統合校を2022年度に新設する構想が進んでいる。

 高校の移管は、「大阪都構想」に絡んで「二重行政」と難癖を付けるための一環として、2013年に当時の大阪市長・橋下徹が持ち出したものである。一度は立ち消えになったものの、2018年に再び方針が浮上して協議が進められてきた。

大阪市立高校、府への移管構想を表明:大阪市長
 吉村洋文大阪市長は8月30日の記者会見で、大阪市立高校全20校を府に移管したいとする意向を表明した。  大阪府・大阪市では維新政治のもと、橋下徹大阪市長時代の2013年にも、維新が「大阪都構想」と呼ぶところの大阪市の廃止・解...

 府市の案では、高校の用地や校舎などは大阪市が大阪府に無償譲渡するとしている。移管に関わる初期費用は府の負担とする見通しとなっている。新しい学校名については、府市で協議の上で大阪府条例で決めるとしている。

 工業系5校については定員割れが続いていることもあり、大阪府条例の「3年連続定員割れは統廃合検討」方針も踏まえながら個別に対応するとした。

 今後細部を詰め、2020年夏にも具体的な移管計画を発表し、2020年秋の大阪府・大阪市の両議会で関連条例を可決させたいとしている。

 府政・市政与党の維新が推進している、大阪市を廃止解体する構想・いわゆる「大阪都構想」が実現しなかった場合でも、高校移管を進めるとした。

移管計画は全くの論外

 大阪府と大阪市がそれぞれ高校を持っているのは「二重行政」でもなんでもない。それぞれに必要があって設置してきたという歴史的な背景によるものである。

 1900年に制定された「大阪府教育十ヵ年計画」により、大阪市内の中等教育については、府が普通教育を中心におこない、大阪市が実業教育を中心におこなうという取り決めがおこなわれた。これにより、旧制中学校・高等女学校は大阪府立を中心に、また商業学校など職業学校は大阪市立を中心に設置されることになった。

 一方で府立学校でも実業科目が設置されたり、また旧制中学校・高等女学校の入学志願者急増に伴って大阪市立でも旧制中学校や高等女学校を設置するなど、必要に応じて柔軟な対応もされてきた。

 学制改革により、1948年に旧制中学校・高等女学校・商業学校・工業学校が新制高等学校へと移行した。その過程で、府立と大阪市立の高校がそれぞれ運営された経緯をたどった。

 大阪市立の高校では1980年代以降、普通科系の学科を中心に「特色化」を進め、体育科や理数科などの専門学科を増設するなどの取り組みがおこなわれてきた。

 学校設置者が大阪府と大阪市に分かれていても、これまでは全く支障がなかった。入試事務をはじめ、生徒・受験生や学校・保護者・市民に広く影響を与えるようなことは、大阪府と大阪市の協議によって共通の内容で統一しておこなわれてきた。

 「大阪都構想」による「二重行政」は、後付けでとってつけた言いがかりでしかない。

 維新はほかにも、公立大学(大阪府立大学と大阪市立大学の統合構想)、特別支援学校(市立特別支援学校の府立移管。2016年度実施)、公立病院(大阪市立住吉市民病院の廃止と府立病院への機能統合。2018年3月廃止)などに対して「二重行政」と難癖を付けた。しかしそれぞれについても「二重行政」は後付けで、関係者や住民へのデメリットが指摘されている。

 高校についても、大阪市が高校を運営していても、デメリットなどはない。府に移管する理由もない。