「内申書訴訟」など重要訴訟の記録破棄:裁判所

 共同通信が2019年8月までに実施した調査によると、合憲違憲の憲法判断などが争われた重要な民事訴訟案件について、裁判所が大半の記録を破棄していたことがわかった。

 憲法判例集に掲載された137件について調査した結果、保存されていたのは18件にとどまっていたという。

 判決文など結論部分は残されていたものの、審理過程に関する文書などは破棄されていて、歴史的な憲法裁判の検証が困難になっていると指摘されている。

 廃棄された記録の中には、「長沼ナイキ訴訟」「沖縄米軍基地代理署名訴訟」「宴のあと事件」などのほか、「麹町中学校内申書訴訟」も含まれていた。

 「内申書訴訟」は、東京都千代田区立麹町中学校を卒業した生徒・保坂展人氏(後年、教育ジャーナリストなどを経て世田谷区長)が、「在学中に政治的な活動に参加したことで内申書の評価を最低ランクに下げられ、その活動に対する否定的な文面も記載されたため、高校受験の際に志望校を不合格になり、学習権や思想信条の自由を侵害された」として訴えた訴訟である。

 一審では原告側の主張がほぼ認容されたものの、二審で逆転敗訴となった。原告側は最高裁に上告したものの、最高裁では上告が棄却され、原告側敗訴の判決が確定した。その一方で、当該訴訟が教育現場に与えた影響は大きいとされている。

 審理過程の文書を破棄したということは、検証は当時の新聞報道や出版物など二次資料に頼らざるをえないことになり、歴史的な研究・検討としても支障が出ることになる。これでいいのだろうか。