大阪市:2019年度教科書採択は8月6日予定

 大阪市教育委員会は2019年8月6日の教育委員会会議で、小学校と高校の教科書を採択する予定となっている。

大阪市での採択地区の細分化

 大阪市では従来の8採択地区を、前回2014年度小学校教科書採択より全市1区へと変更した。これは2015年度の中学校採択に備え、育鵬社教科書を採択させやすくするための策動ではないかとみられていた。

 大阪市政与党の大阪維新の会は、2011年度の中学校教科書採択の際、「ふさわしい教科書の採択」を求める要請を市教委におこなっていた。また2019年4月の統一地方選挙でも、育鵬社教科書などを念頭に置いたとみられる「教科書採択」の問題をマニフェストに入れていた。

 2015年度中学校教科書採択の際、公立中学校および中高一貫校で、育鵬社の社会科歴史・公民教科書が採択された。その際、採択に際して不審な点が指摘された。

 この問題を受け、採択の透明化が求められた。そのことを受けて今回の2019年採択より、全市1区から市内4ブロックでの採択地区細分化が実現した。

 しかし細分化の区割りはかつての8採択地区の復活などではなく、維新が掲げる大阪市の廃止・解体、いわゆる「大阪都構想」の区割りと一致しているという不審点も新たに出た。教育委員会サイドは、「なぜこのような区割りにした」かということに関する合理的な説明は何らできていないままとなっている。

大阪市教委、教科書採択地区細分化案を決定 「都構想」区割りに合わせる
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 細分化の方向性自体は求められていたことではある。その一方で大阪市のやり方は、いわゆる「大阪都構想」に絡めて、維新市政からの首長・政治サイドからの教育介入の恐れもあるものとなっている危険性がある。

 4地区への細分化初となる教科書採択でもある、小学校の採択については、社会科と道徳、また初採択となる英語が、特に注目される。

 道徳については、大阪市では前回採択で日本文教出版が採択されている。前回採択では、教育出版の道徳教科書が「特に著しい問題がある」として批判の対象になったが、大阪市では採択されなかった。教育出版道徳教科書は2019年改訂版を出したが、現行版で特に強い批判を浴びた教材は削除されたものの、基本的な傾向は新版でも変わっていないとされることから、気がかりである。

中学校採択

 中学校については、新学習指導要領が中学校では2021年度に実施されることに伴い、対応教科書が2020年に発行される予定で、本来の採択替えの年にあたる2019年度には新規発行がなかった。このことから、「2019年度の採択(2020年度使用予定)については、2015年採択(2016年度~19年度使用)と同一の教科書を継続採択する」方針が、2019年5月14日の教育委員会会議(議案第37号)で承認されている。

 内容にも批判があり、また大阪市では採択手続きにも問題があった育鵬社の社会科歴史・公民教科書は、大阪市では継続採択される見通しとなっている。

 育鵬社教科書は、その発行の背景から、2020年度改訂版でも大筋では現行版の路線をなぞると予想される。改訂版での記述の詳細については2020年3月の検定結果発表を待つことになるが、1年後の中学校教科書採択を見据えて動き出す必要がある。