全国学テ結果発表:吉村洋文大阪府知事(前大阪市長)「ボーナス返上」表明

 文部科学省は7月31日、2019年度全国学力テストの結果を公表した。いつものことながら、平均点や順位にばかりこだわるような扱いが目立つ。

 大阪市では2018年度、当時の吉村洋文大阪市長(2019年4月より大阪府知事)が、大阪市での全国学力テストの成績が政令市で最下位だったとして、「全国学力テストの成績を教職員評価に活用したい」「学力上位層を集めて高度な授業をおこなう特進中学校を作る」などとおかしなことを表明し、また「2019年度も最下位を脱出できなかった場合は2019年夏のボーナス返上」と発言するなどしていた。

「全国学力テストの結果を人事評価に反映する仕組み作りたい」大阪市長が見解
 吉村洋文大阪市長は8月2日の記者会見で、学力テストの結果を学校の人事評価に反映させる仕組みを作りたいという意向を表明した。  7月31日に全国学力テストの結果が公表されたことを受けたもの。大阪市では、政令市別の順位は2年連続で20都...
学テ「来年も最下位」の場合はボーナス返上:吉村洋文大阪市長
 吉村洋文大阪市長は8月16日の記者会見で、全国学力テストの結果が来年度・2019年度も最下位だった場合は、自身の来年夏のボーナスを返上する考えを示した。  吉村市長は前回8月2日の記者会見で、学力テストの成績を教職員の人事評...

 これらの吉村市長の一連の発言については、教育関係者や保護者、市民団体など各方面から強い批判が起きていた。

 吉村知事は7月31日、2019年度も大阪市で「小学校の国語が政令市最下位だった」として、「公約」通りボーナスを返上する方針を示した。一方で、松井一郎・現大阪市長は、「そこまでしなくてもいいのではないか」と否定的な見解を示している。

 そもそも、学力テストの地域別平均点が、学力状況をそのまま示しているわけではない。全体的な傾向を探ったり、個別の児童生徒の状況がどうかということを測るべきものである。

 全国的にも誤差レベルでといってもいいような平均点や順位のみにとらわれると、点数を上げること自体が自己目的化し、テスト対策の類題・過去問演習などに特化した授業や宿題など一辺倒になり、児童生徒にどのような力を付けさせたいのかという根本点が曖昧になってしまう。全国的にも、他県では、「4月第3週の全国学力テスト実施日までは過去問・類題演習ばかりで、新年度の教科書の内容に入れない」などの状況が告発されている。

 大阪市でも、実質的な過去問演習といえるような「振り返りプリント」が、全国学力テスト実施学年の前年との小学校5年と中学校2年向けに配布されているという情報も、国会で取り上げられたことがある。

 首長のボーナス返上などといった方針で、教育委員会が忖度して、このようなテスト一辺倒の風潮をさらに強化させることも危惧される。