横浜市教科書採択「透明性確保」求める声明:横浜の市民団体

 市民団体「横浜教科書採択連絡会」は7月29日、8月1日に実施予定の横浜市での教科書採択を前に、教科書採択を透明性の高いもの・子どもの立場に立ったものにするよう横浜市教委に求める声明を出した。

 元横浜市教育委員長・今田忠彦氏(2017年4月退任)は、2019年4月に著書を出した。著書の中で、今田氏の個人的価値観に基づく教科書として「自由社の歴史」「育鵬社の歴史・公民」教科書(いずれも中学校社会科)を名指しした上で、教育委員在任中にはそれらの教科書が選ばれるように努力したことや、他社の教科書を「自虐史観」であるとしていることなどが記されていたという。声明は、今田氏の著書の内容を受けて出されたものだということ。

 今田氏は教育委員長在任中の2009年教科書採択で、「審議会の答申内容が不満」として、答申の内容を無視して独自に勉強会をおこなうなどして、当時18行政区各区ごとに設定していた18採択地区のうち8区で自由社の教科書を採択させたことを明かしている。

 横浜市では2009年以降、教科書会社名を出さない審議、教育委員の無記名投票など、異例の手法を取っている。これは今田氏が退任した後も続いている。連絡会では、今田氏によってゆがめられた採択の手法を改善するように求めている。

 横浜市の教科書採択は、確かに2009年以降、不審な点が多くみられた。不透明な採択手法や、各行政区ごとに採択地区を設定していた18採択地区から全市1採択地区に統合したことも、当時から「育鵬社など問題のある教科書を採択させるための手法ではないか」とみられていた。今田氏の著書によって、これらの見立てはあたっていたことがわかったということにもなる。

 教科書採択については、教材の構成や質などの掲載内容はどうかなど、児童・生徒にとって使いやすいものか、また教員にとって使いやすいものかという基準をもとに、透明な基準で採択審議が進められるべきものである。しかし、中学校社会科(歴史・公民)や道徳では、特定の極右的なイデオロギーに基づいて、教育的な観点ではないところからの押しつけが、横浜市に限らず全国的にも問題になっている。

 横浜市については、2019年以降は速やかに、透明性を確保する方向での審議をおこなうべきである。

(参考)
◎透明性高い手続きを 市民団体が改善求め 横浜教科書採択(神奈川新聞 2019/7/30)