生徒への暴行で略式命令受けた教諭、再任用先でも生徒に暴行:大分県

 2018年4月に大分市の中学校で、生徒に暴行を加えて失神させるなどしたとして罰金の略式命令を受けた男性教諭が、定年退職後に再任用されていたことがわかった。当該教諭は2019年6月、赴任先の臼杵市の中学校で2019年6月、生徒に暴行を加えてケガをさせていた。

事件の経過

 報道によると、事件の経過は以下のようになっている。

 当該教諭は柔道有段者。2018年4月20日、当時勤務していた大分市立中学校で下校指導の際、自転車にまたがった状態の男子生徒の首をつかんで自転車ごと転倒させ、絞め技をかけるなどして失神させ、頭部打撲などの軽傷を負わせた。

大分市立中学校「体罰」事件、生徒失神させた事実を伏せて記者発表
 大分市立中学校の男性教諭が生徒の首をつかんでケガをさせた「体罰」事件で、加害教諭が生徒の首を絞めて失神させていたことが、4月25日までにわかった。 この事件は大分市教育委員会が4月22日に記者発表していたが、発表時点では失神の件につい...

 教諭は罰金20万円の略式命令を受けた。大分県教育委員会は教諭を減給10分の1(1ヶ月)の懲戒処分とした。

 教諭は2019年3月に定年を迎えた。一方で大分県教委は、本人の希望申し出があったこともあり、大分市教育委員会からの人事評価資料と大分教育事務所での面接を経て、2019年4月以降も教諭を再任用した。

 臼杵市教育委員会は、中学校での生徒指導力を向上させたいとして、生徒指導分野での適任者の斡旋を依頼していた。県教委は臼杵市教委に対して、この教諭を紹介した形になった。臼杵市教委は2019年3月に人事異動内示の話を受けた際、この教諭が大分市で起こした暴力事件についての説明は県教委から受けていた。しかし指導力を期待して、市内中学校への配置の話がまとまった。

 教諭は2019年4月、臼杵市立中学校に赴任した。

 教諭は2019年6月14日、放課後に「生徒が教室で遊んでいた」として後ろからつかみかかって引き倒し、首をつかんで押さえつけるなどの暴行を加えた。生徒はあごの痛みを訴えているという。

 大分県教委は「県教委の再任用に関する要綱では、略式命令を受けたことは、再雇用拒否の理由とは明記されていない」「大分市教委の人事評価は『再雇用しても大丈夫』となっていた」としている。

暴力行為・「体罰」への認識が甘いのでは

 略式命令が出たことをもって一律に再任用拒否とするわけにはいかないという言い分は、一見すると筋が通っているように見えるかもしれない。確かに、個別の状況を抜きにした一般論で言えば、略式命令の内容によって個別事例ごとに適切に判断されるべきことではある。

 しかしこの教諭の場合、学校で教員としての職務の時間と権限を悪用し、生徒に対して一方的に暴力行為を加えたという、極めて悪質なものである。「体罰」ともいわれるような暴力行為をおこない、生徒にケガをさせたなど、教員の資質としては最悪の部類に属するものではないか。

 抽象的形式的な一般論にすり替えることで、当該教員の暴力行為に対して甘い対応を取った形になったことにもなっている。

 そしてわずか1年と少しで、似たような事件が再発したことになってしまった。当該教諭にしても大分県教委・大分市教委・臼杵市教委にしても、教師による「体罰」・暴力行為への認識が甘いのではないか。

(参考)
◎暴力で生徒失神させた教師を再雇用 別の学校でまた暴行 大分県教委(毎日新聞 2019/7/9)
◎臼杵の体罰教諭、昨春も 「指導力に期待」再任用(大分合同新聞 219/7/9)