学校で復古的な「全校朝礼」おこなう:大阪市の小学校

 大阪市立泉尾北いずおきた小学校(大阪市大正区)で2019年5月、改元に伴う全校朝礼として「愛国の歌姫」と呼ばれる歌手を招き、市民団体が「不適切」とする抗議を出していることが、2019年7月3日付の「共同通信」記事『児童朝礼に「愛国の歌姫」、大阪 市立小、市民団体が不適切と抗議』で配信された。

 この問題は2019年6月頃から、ネットなどで話題になっていた。

問題の経過

 問題の経過は、以下のようになっている。

 泉尾北小学校では2019年5月8日、「天皇陛下ご即位記念」と銘打った児童朝礼を実施した。

 学校のウェブサイトや、ゲストとして歌を披露したシンガーソングライター・山口采希あやき氏のブログ、また産経新聞2019年5月11日付によると、集会の様子は大筋で以下のようになっていた様子。

『泉尾北小学校で歌わせていただきました!』
今日は大阪市立泉尾北小学校の全校集会「新天皇ご即位記念集会」で歌わせて頂きました(*^^*)泉尾北小学校小田村校長先生の、生徒の皆さんへのわかりやすく温かい大…
ご即位や改元、児童らが歌で学ぶ 大正区の泉尾北小
天皇陛下のご即位と令和への改元を楽しみながら知ってもらおうと、府内出身のシンガー・ソングライター、山口采希(あやき)さんが、大阪市大正区の市立泉尾北小学校であっ…

 集会では小田村直昌校長が天皇の代替わりについて話した。126代という代数(神話での神武天皇から起算したものであり、史実かは疑わしい)についても断定するような形で触れた。元号も日本古来から続いているという講話をおこなった。

 そして山口氏が歌を披露し、トークをおこなった。山口氏は、仁徳天皇の「民のかまど」の話をして唱歌「仁徳天皇」を歌い、さらにはオリジナルソング「行くぞ!日の丸!」「令和の御代」などを披露した。

 集会の様子のほか、山口氏と小田村校長が、山口氏のサイン色紙を持って記念撮影をしている写真もアップされている。色紙には「皇紀2679」と記されている。

 これに対して、苦情と抗議の声が巻き起こっていた。抗議に関する経過は「子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会」のブログに詳しい。

【更新】憲法を無視した大阪市立泉尾北小学校での『「天皇陛下ご即位記念」児童朝礼』に対する抗議文に賛同をお願いします! - 子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
『「天皇陛下ご即位記念」児童朝礼』に対する抗議文の大阪市教委への提出行動が7月16日に決まりました。それに伴い、署名の受付を7月12日(金)まで延長します。現在、100以上の団体賛同と1500以上の個人賛同を頂いています。出来るだけ、多くの批判が噴出していることを市教委にも示したいと思っています。是非、ご協力をお願いし...

問題の背景

 小田村校長は民間企業から公募校長に転じた民間人校長である。大阪府の公募校長として2012年度に大東市立三箇さんが小学校に赴任し、府の任期満了後の2015年度より大阪市の公募校長に転じた。大阪市立関目東小学校(城東区)に赴任したのち、2018年度に泉尾北小学校に異動した。大阪市の公募校長としては2校目、大阪府時代も含めれば3校目となる。維新の府政・市政時代に採用された公募校長ということにもなる。

週刊大阪日日新聞 [special] 吉田松蔭の妹の玄孫が開くなにわの松下村塾 泉尾北小学校(大正区)

 小田村校長は、神谷宗幣氏(元大阪府吹田市議、龍馬プロジェクト主宰。森友学園での教育シンポジウムでパネリストを務めた経験あり)のネット番組での対談に出演して復古的な教育を志向する見解を述べ、「現在の教育は偏向教育」「平和教育を否定」などとも受け取れる内容も話している。

 山口氏は、軍歌のカバー・教育勅語を肯定する歌・復古的な内容のオリジナルソングなど、いわゆる極右的な内容の歌を中心に活動しているという。一部では「愛国の歌姫」ともあだ名されている。

学校教育にはふさわしくない

 2019年5月の全校朝礼は、日本国憲法の国民主権から大きく逸脱する内容をおこなっていたということにもなる。

 この件を調べてみると、すさまじいことになっている。神話を史実かのように扱っていることも、歴史学習との兼ね合いという意味でも、また扱った内容も国民主権との兼ね合いからもふさわしくない。披露した歌についても、唱歌にしてもオリジナルソングにしても、復古的な歌詞となっている。

 これはやはり問題だといえるのではないか。