医学部不正入試問題:元受験生が提訴

 東京医科大学、昭和大学、順天堂大学の入試でいずれも不合格にされたのは、性別や年齢による差別を受けたからとして、大学卒業後に社会人経験を経て受験した元受験生の女性が6月5日、3大学に対して慰謝料や予備校の学費相当額など計3621万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

経過

 報道によると、大筋で以下のような経緯が指摘されている。

 原告女性は大学卒業後に社会人となり医療機関に勤務していた。その後父親の死などをきっかけに医師を志し、勤務先を退職して医学部受験を決意した。

 受験勉強に専念したのち、2018年度に3大学の入試に挑んだものの、いずれも不合格だった。原告は、貯金を取り崩す生活などでの経済的不安から受験をあきらめることを考えたものの、家族の支援を受けて引き続き受験に挑むことを決意した。

 しかしその後2018年秋、東京医科大学で、性別や年齢による受験生の得点操作の実態が発覚した。女性受験生や、男性を含めた多浪生や社会人経験者など高校卒業から時間が空いて年齢の高い受験生には不利になるような恣意的な入試判定がおこなわれていたことが明らかになった。

 同大学で入試判定をやり直した結果、原告は本来ならば合格ラインに達していたとして、追加合格の対象となった。

 また全国の医学部大学でも同様の問題がないか調査がおこなわれた結果、受験した昭和大学と順天堂大学からも「本来は合格していた」と通知があった。

 原告は最終的に、2019年度にほかの大学に合格したことで、追加合格となった3大学への入学はいずれも辞退した。

 東京医科大学からは「100万円の補償」を打診する手紙が届き、昭和大学や順天堂大学からは受験料の返納のみだったという。

 原告は「大学側がフェアな入試をしていれば、1年間を受験勉強に充てることはなかった」と指摘し、1年間の代償に「100万円の補償」「受験料返納」だけではおかしいと指摘した。

これは個人的な問題ではない

 本来なら大学で学べるはずだった1年間を、不正な方法で不合格にされ受験勉強に費やすことになったのは、当該の1年間だけではなくその後の人生にも大きく関わってくる。またこの原告の個別の問題だけではなく、再受験断念・進路変更などを余儀なくされた元受験生もいる。

 一人の人間の人生を大きく左右させるような不正に対して、100万円の補償や受験料返納だけでいいのだろうか。