「ピースおおさか」展示見直しの経過資料非公開は不適切:最高裁判決

 大阪府と大阪市が出資する財団が運営する平和資料館「ピースおおさか」で、展示内容見直しに伴う改装オープンの際、展示内容見直しの経過を記した資料が情報公開されなかったことを不服として、市民団体関係者が大阪府や大阪市を相手取り損害賠償を求めて訴えていた訴訟で、最高裁第三小法廷は5月24日付で、大阪府・大阪市の上告を棄却する決定をおこなった。

 府・市が原告側に計10万円の損害賠償を命じた、二審大阪高裁判決が確定する。

事件の経過

 「ピースおおさか」(大阪国際平和センター)では、大阪における平和の情報発信基地の役割を担って1991年に大阪市・森之宮に開館した。戦争と平和に関する展示と研究をおこない、平和学習などの拠点ともなっている。

 しかし維新や自民党の府議・大阪市議が展示内容を「自虐史観」と攻撃するなどした。その動きを受けて、維新政治のもとで展示内容の見直しがおこなわれた。

2011年10月4日 大阪府議会本会議

吉田利幸大阪府議(自民):ピースおおさかの偏向展示での反日教育、歴史を捏造した責任の罪は重いと考えます。(中略)ピースおおさかのリニューアルについて、知事の基本的な見解をお伺いしたいと思います。

橋下徹大阪府知事:ピースおおさかの展示内容について、問題あることは、もう間違いないと思ってます。やはり正さなければいけないところは正さなければいけません(後略)

2011年10月4日 大阪府議会本会議

奥野康俊大阪府議(維新):来館したほとんどの子どもたちは、先ほどの生首の写真などを見ることで、日本人は悪い、日本人に生まれて恥ずかしいなどといった感想文を書き、自虐的になっています。(中略)思想犯とも言われかねない行為をし、反日感情をあおる写真を展示した財団法人大阪国際平和センターへの指定管理をやめ、ピースおおさかは、記念碑を残し、直ちにリニューアルし、提案型の公募で、日本人として誇りを持ち、愛国心が養える教育基本法、学習指導要領に準拠した施設に変えるべきと考えます(後略)

2011年10月20日 大阪市会文教経済常任委員会

辻淳子大阪市議(維新)

 私たちは、やっぱりこの展示の理念に対して、展示内容が合っていない、子供の勉強のためになるとは思えません。展示も幾つかあるんですけれども、展示室Aというのは、大阪大空襲について、これも資料としては大変意義がありますし、子供たちに伝える必要は十分あるというふうに考えます。でも展示室Bについては、戦争の悲惨さを強調するためにも、何か自虐的にというふうに思えませんし、またなぜここにアウシュビッツの扉の展示があるのかも全く理解できません。中に三光作戦という展示があったんですけども、これは三光というのはシナ語であって、焼き尽くす、殺し尽くす、奪い尽くすと。こういう作戦名は日本にはなかったというふうなこともありますから、これも検証していただきたいと思います。
 私たち大阪維新の会の議員団で9月にピースおおさかの施設に行きました。ちょうどそのときに学校の見学会で来ている小学生たちがいましたので、見てどうというふうに聞きましたら、気持ち悪いという、そんな答えが返ってきました。これでは本当に設立の意義を果たしていないなというふうに感じます。

 南京事件(南京大虐殺)や朝鮮人強制連行など「日本軍の加害行為」に関する資料を中心に撤去し、また沖縄戦の実物展示資料や広島原爆の被爆資料なども含めて撤去した上で、2015年にリニューアルオープンしていた。

 リニューアルに際して、設立理念が骨抜きにされると危惧した市民団体関係者が、関連する公文書の情報公開を申し立てた。しかし大阪府・大阪市ともに拒否した。異議申し立てをおこなったものの審査会などは開かれなかったという。

 原告側は「知る権利」を侵害されたとして提訴した。一審大阪地裁では請求棄却されたものの、二審大阪高裁では「様々な意見がある歴史認識に関わることだからこそ情報公開すべき」として、大阪府・大阪市が各5万円ずつを原告側に支払うよう命じる逆転判決を出した。

 原告側によると、展示内容見直しの過程で、橋下徹大阪市長(当時)と松井一郎大阪府知事(当時)の不当な介入・干渉が進められたと指摘されている。

判決の意義

 ピースおおさかでの展示内容リニューアルは、歴史修正主義勢力からの政治的圧力があったことが、当時から指摘されてきた。

 今回争われた内容は、情報開示の不適切さの問題ではある。維新政治での手続きの不適切さが認定された形になったのは、意義を有するものだといえる。

 展示内容のリニューアルについては、公開できないような経過を経ていたということなのだろうか。