「保育士資格を持たなくても子育て経験ある人を登用する仕組みを」松井一郎大阪市長

 松井一郎大阪市長は2019年5月16日の記者会見で、待機児童解消・保育士確保の問題について、保育士の身分保障に否定的な見解を示す一方で、保育士資格を持たなくても子育て経験のある人を研修によって積極的に登用する仕組みを作っていくべきだとする見解を示した。

大阪市・松井市長が午後2時から定例会見(2019年5月16日)

2019年5月16日記者会見 松井一郎・大阪市長発言(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190516-00010002-wordleaf-pol&p=4)

保育士確保が一番の課題だと思っています。これは知事時代も吉村市長と一緒に、准保育士制度というか、保育士資格はないけれども研修によって保育士と見なせる、そういう人材によって保育園の、要は受入数を増やしていきたいと、定員を増やしたいと。こういう提案してきましたけども、なかなか厚労省と全て話がまとまらず、保育士と見なせる人材確保っていうのはなかなか了解を得れてませんから。

 府域でいうならば、だいたい保育士資格を持たれてる方の3分の1程度しか保育の現場では働いていただいておりませんから。その残りの3分の2の方々は今、別の場所で仕事をされたり、いったん現場から離れられて自分の人生は違うところで過ごされてるわけで、この人たちを無理やり保育の現場に引き戻すっていうのは、これはなかなか難しいのでね。

 かといって税金投入して、あまりにも圧倒的な身分保障するというのは、これは財政的にも厳しいし、税を使ってその分野にだけ個人の所得を上げていくっていうのもこれは公正・公平な税の使い方とは言えないと思いますのでね。

(中略)

この議論してるときにいつも政府と話すると、保育の質ということが確保できるのかと。保育士資格、正式な保育士資格を持たない人が質を確保できるのかという話になるんだけど、それはやっぱり自ら子育てを経験してきた、そういう年代の特にお母さんたち。もう子供が自立して、今まだまだそういう年代なっても若いわけだから。そういう子育てを経験してきた女性の皆さん。男性でもいいんですけど、そういう皆さんが一定期間研修することによって保育士並の仕事ができる環境、これを僕はぜひ、国において議論してつくっていくべきだと、こう思っています。

 松井氏個人の見解というよりは、これまでも維新の首長や議員から同様の主張が繰り返されてきた経過を考えると、維新の公式見解であるといってもよいような内容になっている。

 保育に関する維新の認識が典型的に現れた発言である。

 「民間でできることは民間で」の口実で、公立の施設は整備しない、縮小する、民営化や民間委託を図る。やる気や能力のある人材なら待遇が悪くても集まるという一方的な「神話」「思い込み」の元で、現場で働く人の待遇を切り下げ「ブラック職場」化させる。

 保育所についても、大阪市では維新市政のもと、民間移管、民間委託、統廃合などの動きが進んできた。民間保育所の参入にしても、「規制緩和」ともセットになっているために質の低いものの参入につながる危険性が否定できず、保育条件の低下や保育事故の増加なども懸念される。

 また大阪市では、保育所の保育士は条例によって国基準を上回る配置基準を最低基準としていたが、橋下・維新市政時代に国基準よりも下回る切り下げをおこなった。

 保育士の専門性を軽視していることも見過ごせない。子育て経験があるから保育に携われるとか、そういう単純な話ではないことはいうまでもない。

 このような恐ろしい主張を平然とおこなうような維新では、保育条件の向上は望めない。