北海道立高校「指導死」訴訟、教諭の指導と自殺との因果関係認めず:札幌地裁

 札幌市の北海道立高校に通っていた当時1年の男子生徒が2013年に自殺した事件があった。

 「所属していた吹奏楽部でのトラブルをめぐり、顧問教諭から不適切な指導を受けたことが自殺の原因」として、遺族側が北海道を相手取り約8400万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は4月25日、北海道に対して約110万円の損害賠償を命じる判決を出した。

 判決では、遺族側が指摘していた「吹奏楽部の部内でのいじめ」や、「顧問教諭の指導と自殺との因果関係」はいずれも認定しなかった。その一方で、生徒の自殺後に学校側が実施した校内アンケートについて、学校側が結果を破棄したことなど不適切な点があったとして、その点について賠償責任を認めた。

自殺の経過

 この事件では、この生徒がLINEで中傷されていたという。吹奏楽部所属の別の男子生徒Aとメールでトラブルになり、Aが「自殺した生徒からのメール内容」とされるものを吹奏楽部のLINEに貼り付けた上で「消えろ」などとこの生徒を中傷した。

 自殺した生徒からのメールとされるものに「(Aを)殺す」などの文面があったとして、学校側は2013年2月に、自殺した生徒を呼び出して指導をおこなった。一方で相手側の生徒Aや、LINE上でこの生徒を中傷していたほかの生徒への指導はなかったという。顧問教諭は、この生徒が「部内の秩序を乱した」として、全部員の前で謝罪させた。

 また生徒は2013年3月2日にも、部の規則に違反した疑いがあるとして、顧問教諭から退部の可能性をちらつかせながらの長時間の叱責を受けたとされる。さらに顧問教諭は、吹奏楽部のほかの部員に対して、この生徒について「連絡があっても応じるな。関わったら危険な目に遭う」と発言し、この生徒を無視するよう仕向けたとも指摘されている。

 生徒は2013年3月3日、家を出たまま学校には現れず、札幌市営地下鉄の駅で列車に飛び込み自殺した。

 生徒の自殺当日、生徒が部活動に顔を見せていないことに気づいた顧問教諭は「あいつはもうダメだ」と言い放ったとされている。また翌日、生徒の自殺を部員に伝える話し合いがもたれた際にも、顧問教諭はこの生徒について「あいつは最後までダメだった」「最後まで部活を乱していた」など暴言とも受け取れる内容を交えた説明をおこなったとされている。

 部内でのトラブルで一方的に悪者扱いされたことや、規則を盾にして吊し上げられたことなど、そのこと自体が「ブラック部活動」を背景としたいじめだともいってよい。さらに生徒を無視しろ・孤立させろなど、いじめそのものではないか。

 顧問教諭の一連の言動が事実ならば、とんでもない話ではないか。裁判ではアンケートの扱いについての不適切さなどについてのみ責任が認められているが、顧問教諭の言動も重大な問題だと感じる。