維新政治が大阪の教育にもたらしたもの

 朝日新聞ウェブ版2019年4月6日付に『大阪府公立校「切磋琢磨」の末 3人の校長が振り返る』が掲載されている。

 大阪府・大阪市では約10年にわたる維新政治によって、教育現場に「切磋琢磨」と称する競争が持ち込まれるようになった。そのために教育にゆがみが生じている。

 記事では、3人の公立学校校長へのインタビューを軸に記事を構成していいる。

西淀川高校の閉校

 大阪府の「3年連続定員割れの公立高校は統廃合の対象とする」という方針により、2019年3月末日付で閉校になった大阪府立西淀川高校。校長への取材内容が記事で示されている。

 記事によると、校長はこのように話していたという。

 底支えこそが大阪の教育の本質だと誇ってきたが、閉校を迎えた。「大阪の教育情勢の変化は、本校には大変厳しいものでした」

 同校では、困難な生徒に向き合う方針を強めるなどの取り組みをおこなってきたとされる。しかし大阪府・維新政治の考えるような「学力観」「学校間の切磋琢磨・特色化」には合わず、条例によって閉校の日を迎えたことになる。

「私学無償化」の落とし穴

 西淀川高校では、私学から入り直してきた生徒がいたという話が紹介されている。「授業料は無償化されても、制服や修学旅行代の出費が負担だった、と聞いた」――そのような理由だということ。

 学ぶ機会を保障するという理念は当然重要ではあるし、一般的にいえば行政としても可能な限りの対応が必要とはなる。その一方で大阪府の「私学無償化」は、制度設計に問題があることが指摘されてきた。

 公立高校統廃合と一体のものとなっているという意味でも重大な問題となっている。

 また同時に、私学無償化といっても「授業料の無償化」であり、制服・教材費・修学旅行費など「授業料以外の経費」については公立以上にかかることも指摘されている。そこで公立高校をつぶして受け皿を狭めると、おかしなことになってしまう。

 大阪府では、学区撤廃や一部の「上位進学校」への偏重などで、公立高校入試が難化し、学校の進路指導も難しくなり、さらには学習塾も受験動向を「読めない」状況になっているという。そのため公立高校を落ちて私学に流れる生徒も増えているとされている。

 これでは生徒にとっても家庭にとっても大きな負担になってしまう状況となっている。

テストでの教職員評価

 大阪市立中学校を3月末日付で退職した公募校長の話も紹介されている。

 「教育成果の数値化は難しい」と感じていた折、2018年9月に吉村洋文大阪市長(当時)が「学力テストの成績を教職員評価に活用する」という方針を出したことに驚いたという話。

 吉村・維新政治の方針は、教育関係者や市民からは驚きと憤りをもって迎えられ、有識者からの批判や、方針を見直すよう求める請願・署名が大阪市会に提出されるなどの状況になっている。

 維新政治の「テストの点数偏重主義」も、論外といってよいような話であり、非常に問題がある。

教育の流れを変えたい

 大阪府・大阪市では維新政治の10年間によって、住民生活のあちこちに重大なゆがみとひずみをもたらしてきた。

 医療や社会福祉・街づくりなどの多くの分野でも重大なものがみられるが、子どもと教育に関する問題では特に重大な破壊案件が目立っている。

 「高校統廃合」「学力テストでの教職員評価」のみならず、この10年でおかしなことになった大阪の教育問題はたくさんある。その流れを変えられるかが問われている。