大阪府・大阪市、児童福祉司の配置数が基準下回り「政令違反状態」

 毎日新聞2018年4月3日付に『大阪ダブル選 危急、児童虐待対策 府・市の福祉司数「政令違反の状態」』が掲載されている。

 維新の首長が「都構想再挑戦」を掲げて、任期満了を待たずに奇襲的に打って出て、しかも知事・市長候補者の入れ替えという脱法的行為をおこなったことで生じた、2019年4月7日投開票の大阪府知事・大阪市長のダブル選挙。

 しかし実際に選挙戦になると、維新の候補者は「都構想」と正面から掲げず、その代わりに「児童虐待対策の強化」などを前面に打ち出す戦術に出ている。

 児童虐待への対応ならば、それまで維新の首長が続いていたのだから、そのまま任期満了まで腰を据えておこなえばよいという矛盾も出る。

 そして毎日新聞では、大阪府・大阪市の児童虐待対策が現状でも十分ではなく、児童虐待案件に対応する要となる児童福祉司の人数が、国の配置基準を下回って政令違反状態になっていると指摘している。

維新政治が対応を止めているのではないか

 維新は選挙戦で、2008年に橋下徹が大阪府知事に就任し、また2011年に橋下が大阪市長に就任して「維新政治」になったことを引き合いに出し、「10年前の大阪に戻すのか、維新の改革で前に進めるのか」と主張している。

 しかし大阪市では約10年前に、西淀川区での小学生虐待死事件(2009年4月)や、西区での2児童ネグレクト餓死事件(2010年7月発覚)など、痛ましい虐待事件が相次いで社会的にも大きな影響を与えたことから、児童虐待対策を大きく進める風潮ができていた。

 大阪市では、市民への啓発活動のほか、対応体制の強化として、従来市内に1ヶ所だった児童相談所を3ヶ所に増やすことにした。しかし2011年末より始まった維新市政では、北部こどもセンター設置の際に「管轄区域の端にある・日照条件など子どもの生活環境としてもよくない・住民と利用者双方のプライバシーを守れないなど、立地条件が悪い」と指摘された、市が区分所有するタワーマンションの一角を使用する「マンション児相」計画にこだわったことで、最終的に白紙撤回して別の場所への設置を決めたものの、開設時期を遅らせる失態をおこなった。

 大阪市立住吉市民病院(2018年閉院)でおこなわれていた、社会的に困難な子どもや家庭への援助を図る「福祉的医療」についても、2010年に住之江区で起きた乳児虐待死事件がきっかけとなった。母親が住吉市民病院の産婦人科で定期受診し同病院で出生した乳児が、生後2ヶ月だった2010年12月、意識不明の状態で同病院に搬送され、翌2011年1月に死亡する事案があった。被害児童は生後1ヶ月時にも骨折疑いで同病院を受診するなどしていたが、その際に病院側の対応が後手に回ってしまった反省から、教訓を活かすために始めたとのこと。

 しかしその住吉市民病院は、維新市政のもとで「二重行政」として廃止対象とされた。福祉的医療の機能も継承されなかった。

 また大阪府下でも、2004年に岸和田市で発覚した、中学生を自宅に閉じ込めて餓死寸前まで衰弱させた虐待事件などもあり、対応体制の強化が指摘されてきた。

 維新のしていることは、児童虐待対策の分野でいえば「前に進めようとしていたことを止めている」とも思える。(児童虐待対策だけでなく、学校教育や社会教育、保育、文化・芸術・社会福祉・街づくりなど多くの分野でも「止めている」のであるが)

 児童福祉司の配置数が必要数を大きく下回っていることは、1人の担当者が抱える案件が膨大になり、それに伴って担当者の過重負担や虐待案件の見落としなども生じて、対応体制に不安を生じさせることにもなる。

 専門職でもあり、継続的・系統的に育成することも必要になってくるのに、維新の10年間では改善していないということになる。それで「児童虐待対策強化」とよく言えたものだということにもなる。

 パフォーマンスではなく、地道な取り組みで、本当の意味での児童虐待対策強化がおこなわれるような行政を望みたい。