大阪府立東住吉総合高校「指導死」訴訟:一審は請求棄却

 大阪府立東住吉総合高校(大阪市平野区)1年だった男子生徒が2015年、教諭から一方的に「反省文」を書くよう長時間別室指導を受けた直後に自殺した事件があった。遺族が「教員の行き過ぎた指導が自殺の原因」として約7800万円の損害賠償を求めて訴えた民事訴訟で、大阪地裁は3月27日、訴えを棄却した。遺族側は控訴する意向だという。

事件の経過

 事件は2015年5月15日に起きた。同日朝の英語の授業で、授業中に席を立ち歩き私語をするなどしていた同級生を、この男子生徒が見かねて注意した。しかし相手の生徒が逆上して威圧的な態度を取り、この男子生徒の方に向かってきたことでもみあいになった。

 教諭は「この男子生徒が、相手の生徒に先に手を出した」として、この生徒を別室に連れて行き、反省文などを書かせる指導をおこなった。指導は同日午後6時頃まで約8時間にわたっておこなわれ、複数の教員が交代で監視していた。その間に教諭らは、この生徒を停学5日の処分にした。

 生徒は午後6時頃に帰宅を許されたが、約30分後の同日午後6時30分頃、大阪市住吉区の南海高野線踏切で飛び込み自殺した。

 生徒の遺族は「学級崩壊のような状態を見かねて注意したのに、反論や弁解の余地を与えられなかった」「教諭らの行為は指導とは呼べない。人格を否定されたことが自殺の原因」などとして2016年5月に提訴した。大阪府は「学校の指導は適切だった」として争っていた。

 一連の経過は、生徒側や遺族にとってはあまりにも理不尽な案件ではないかと感じる。授業の妨害を受け、教師は特に対応したような様子はなし、注意したら逆上された上に、暴力事件の犯人と一方的に決めつけられてまる1日別室指導では、こんなものは指導とはいえない。教師によるいじめだといっても過言ではない。

 またこれは「ゼロ・トレランス」的な指導の異常さ・異様さを示す例ともなっている。前後の状況を把握せず、教員・学校側にとって都合がよいかどうかで対応を決めているのではないかとも考えられる。最初の発端となった相手の生徒の私語などを注意しなかった授業担当教師の落ち度や責任を、もみ合いになったことを悪用してこの生徒になすりつけたのではないかとも思える。

 このような異様な指導は全国的に明らかになっているが、大阪府ではとりわけ、維新のここ10年の教育介入によってこのような指導がまかり通るようになったとも感じる。大阪府立懐風館高校(大阪府羽曳野市)で2017年に起きた「黒染め訴訟」とも似たような構図にも感じる。