「体罰」告発生徒の氏名を加害者に無断で伝える:北海道

 北海道の中学校で、教員の暴力行為・いわゆる「体罰」の実態調査について、匿名・プライバシー保護を条件に実施したにもかかわらず、「体罰」を訴えた生徒の実名を学校側が加害者教員に無断で伝えていたことがわかった。

 加害者と名指しされた男性教諭(51)は、被害を訴えた生徒に対して報復とも受け取れる行為をおこなった。被害者は不登校に追い込まれて転校を余儀なくされたという。

事件の経過

 事件は北海道渡島管内の公立中学校で起きた。

 北海道教育委員会は2017年10月に「体罰」に対するアンケートを全道的に実施し、当該校でも調査がおこなわれた。その際にこの生徒から「所属しているバレーボール部の顧問教諭から被害を受けた」とする回答があった。

 教頭は2018年1月25日、顧問教諭に事情を聴いた際、回答した生徒の名前を伝えた。

 教諭は後日当該生徒を呼び出し、自分の言動は「体罰」にはあたらないと抗議を加えた。その際に、「『体罰』の例を見せてやる」といいながら、生徒を床に寝かせて蹴りつけるそぶりをした。

 さらにその後の部活動のミーティングでも、「体罰」の疑惑がかけられて誤解を受けたまままでは指導が難しくなるなどと、当該生徒を威圧した。

 生徒は教諭の態度に恐怖感を感じて不登校になり、2018年6月に転校した。

 北海道教育委員会は、教諭の行為は「体罰」だとは判断しなかったものの、その後の言動で生徒に精神的苦痛を与えたとして、2019年3月26日付で減給1ヶ月の懲戒処分にした。教頭については、情報を伝えた行為は適切とはいえないが、「場合によってはある程度の情報を伝えて調査する場合もある」として懲戒処分は見送った。

 懲戒処分こそ見送られたものの、報復といわれてもおかしくないような行為を呼び込んだ教頭の責任は重いのではないか。こういう被害申告の場合、被害者のプライバシーを守るのが基本ではないか。仮に被害者の名前を出すとしても、申告した側の許可を取ってからが筋ではないか。