千葉県野田市小4虐待死:被害訴えのアンケート内容を父親に渡す

 千葉県野田市で小学校4年の女子児童が父親から虐待を受けて死亡した事件で、死亡した児童が学校のいじめアンケートに「父親からのいじめがある」と回答したところ、市教育委員会がその文面のコピーを加害者である父親に渡していたことがわかった。

事件の経過

 報道の内容を総合すると、経緯は以下の通りのようである。

 児童は2019年1月24日、自宅で死亡した。直前に父親が、自宅風呂場で児童に冷水を浴びせたり首根っこをつかむなどの暴行を加えていたことがわかり、警察が父親を逮捕した。

 児童は以前は、母親の実家がある沖縄県糸満市で暮らしていたが、2017年8月に一家で父親の地元である千葉県野田市に転居した。

 糸満市では、「体にあざができていた。父親からたたかれているのを見た」(糸満市の小学校の同級生)、「父親の虐待や家族へのDVについて親族が糸満市に相談していた。市の担当者が面会しようとしたが、千葉県への引っ越し準備を理由に接触できないままとなり、糸満市は野田市にハイリスク家庭として申し送りをおこなった」などの証言があるという。

 転入した野田市立山崎小学校で2017年11月、いじめに関するアンケートが実施された。アンケートでは冒頭に「回答者の秘密は守る」と明記されていたという。

 死亡した児童(当時3年)は、アンケートで父親からの虐待被害を訴えた。記述を受けて、学校側は児童本人への直接の聴き取りをおこなった上で虐待疑いと判断し、千葉県柏児童相談所への通告をおこなった。

 児相は2017年11月7日付で「虐待の疑いが高い」として児童を一時保護した。しかし年末の同年12月27日に、親族宅での生活などを条件に、一時保護が解除された。

 2018年1月12日、3学期が始まっても児童が登校してこないとして、学校関係者が野田市教委担当者とともに児童宅を家庭訪問した。応対した父親は、「人の子を誘拐するのか」「暴力はふるっていない」「訴訟を起こす」などと激しい抗議・恫喝を繰り返した。この際に父親がアンケートの存在を知り「アンケート内容を見せろ」と要求した。一度は拒否したものの、3日後の1月15日に父親が市教委を訪問し、「児童から開示の同意書を取った」などと主張して再び恫喝したことで、アンケートのコピーを渡したとされる。

 父親は直後の2018年1月18日付で、児童を野田市立二ツ塚小学校に転校させた。その後も虐待が続き、2019年1月24日の事件につながった。

 野田市教委は2019年1月31日に記者会見を開き、コピーを渡した事実を認め、また理由について「対応した学校関係者も市教委担当者も、父親の態度に強い恐怖感を感じて、父親に屈してしまった」とした。

ありえない対応

 このようなことは、ありえない対応だし、あってはいけない対応である。被害を訴えた側に関する情報を加害者に提供しているということにもなり、逆恨みで被害が悪化する危険性があるという意味でも、最悪である。

 学校や市教委担当者ですら恐怖を感じるものだからといっても、そのことによって被害児童本人をさらに恐怖のどん底に陥れるなど、とんでもないことではないか。このような人物への対応は、学校関係者としての対応を超えたようなものであり、児童相談所に連絡し、また警察や弁護士などとの連携も視野に入れるなど、関係各機関との連携が必要な案件だったのではないか。