学テ成績を校長人事評価に反映する方針案:大阪市総合教育会議

 大阪市教育委員会は1月29日の総合教育会議で、学力テストの成績を小中学校校長の人事評価に反映する方針案を出した。

 2019年度に試行を実施し、2020年度以降本格導入したいとしている。

 対象となるテストは、小学校3~6年生で実施している大阪市の「学力経年調査」と、中学生チャレンジテスト(大阪府実施)。学校別の成績について、学校目標に対する到達度を基準にして判定し、人事評価の20%に反映させるとしている。テスト結果が、賞与の半分程度を占める勤勉手当の額を左右することになる。

 2019年度は人事評価のみとし、2020年度以降は賞与にも反映する。

 また学力テストの成績が向上した学校に対しては、特別の予算を配分し、学校間の競争を促す仕組みも設けるとしている。

全くの愚策

 こんなものは、全くの愚策である。

 この問題については、吉村洋文大阪市長が2018年8月に「学力テストの成績を教職員評価に使いたい」とする原案をぶち上げ、2018年9月の市総合教育会議で大森不二雄・大阪市教委顧問(元・大阪市教育委員会委員長)が「点数そのものよりも伸び具合を見るべき」とする修正案を出した経緯がある。

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 しかしこのようなものは、「学力=テストの成績・平均点」と一面的に扱うことで、「学力向上」と偽った点数競争に追い立てられていくことになる。

 テストの成績・平均点を唯一の尺度とすることで、多くの弊害が生まれる。

 過去問演習や類題演習などの狭い意味での「テスト対策」が横行して通常の授業に支障が出る。学力状況を把握するためのテストなのに点数や順位を絶対視して人事評価にもつなげることで、試験当日に教師が答えを教えたり、成績の振るわない生徒を当日休ませるなどの不正にもつながることになる。――過去に学力テストが学校評価や人事評価と結びつけられたところでは、このような事例が多くの地域から報告されている。

 こういうことは、特異な場所で偶発的に起きるようなことではない。学力テストの点数を学校評価や人事評価と結びつけるシステムそのものが、不正のシステムを生み出す温床になっているものだといえる。大阪市でもこういうことになるのは目に見えている。

 大阪市の学校教育を根本から破壊するような、このような施策はおかしい。

 当然のことながらというべきか、一連の大阪市・吉村市政の対応には、教育関係者や保護者・市民から強い反対の声が上がっている。このような愚策は、撤回させる必要がある。

(参考)
◎生徒のテスト結果を校長評価に反映へ 大阪市教委が方針(朝日新聞 2019/1/29)