仙台市泉区で2018年11月に母親と市立小学校2年の長女が死亡し、長女が学校でいじめを受けていることを苦にした無理心中だと指摘されている事件。

この事件について、背景をより詳細に報じる続報が、「河北新報」2019年1月20日『妻と娘の心中は「いじめが原因」父親、仙台市教委に第三者委調査要請へ「妻と長女の名誉回復したい」』および同紙2019年1月21日『<いじめ母子心中>両親のメモを無断で相手に 学校の対応に家族不信募らす』で掲載されている。
いじめの概要と対応
これらの報道によると、いじめの経過はおおよそ以下のようになっているようである。
仙台市立寺岡小学校(泉区)2年だった女子児童は、1年生だった2018年3月頃から、同学年の女子児童2人から、集団登校で一人だけ置き去りにされたり仲間はずれにされる、殴られそうになるなどのいじめを受けるようになった。
2018年5月にいじめが発覚し、保護者は学校側に相談した。しかし担任教諭は、加害者とされる児童の保護者への連絡などはせず、児童間で握手させて仲直りさせようとするなどの対応をおこなった。また校長室登校の状態になった児童に対して、校長は教室に戻るよう促した。それらの学校側の対応が裏目に出るような形になり、教室に戻った児童が加害児童からにらまれるなど、いじめは収束しなかったという。
また学校は保護者に無断で、保護者が学校側に提出したメモの内容を、加害者側保護者に伝えていたことも明らかになった。
それらのことが積み重なり、児童は「死にたい」などと訴えるようになり、また母親も心労で体調を崩して通院する状態になったという。そして2018年11月29日、母親と児童が自宅で死亡しているところを発見された。
2019年1月19日に記者会見して事実関係を公表した父親は、「いじめが無理心中の原因」「加害者と学校には謝罪してほしい」「母親の育児に関する悩みが事件の原因だと噂されているのは納得できない。妻と長女の名誉を回復したい」などと訴えた。
まずい対応ではないか
報道の通りの経過だとすれば、いじめ対応としては、極めてまずい対応の典型例ということにもなる。
関係者間での情報共有などをせずに、安易に「仲直り」でごまかそうとしたことや、児童が苦痛を感じているにもかかわらず漠然と教室に戻るよう促したことなど、認識が甘いと批判されてもおかしくない。
その一方で、保護者が望まない局面で、当事者に無断で勝手に情報を相手方に垂れ流すというのも、それも問題である。
いじめとそれに関する対応によって親子を追い詰め、命を失ったということにもなる。事件の経過を詳細に検証し、必要な対応が取られることが求められている。