組体操事故:国連子ども権利条約委員会が審査へ

 日本の学校で重大な事故が連続し、社会問題にもなっている組体操の問題。

 「日本政府が組体操の危険性について対策を十分講じてこなかったことは、子どもの権利条約に違反する疑いがある」とする指摘があり、国連子ども権利条約委員会が審査対象にすることがわかった。

 『共同通信』2019年1月12日配信『日本の組み体操、危険性審査へ 国連の子ども権利条約委員会』によると、以下のように報じている。

 【ジュネーブ共同】日本の小学校などの運動会で行われている組み体操の危険性について、国連の「子どもの権利条約」委員会が、傷害などからの保護を定めた同条約に違反しているとの指摘を受け、今月始まる対日審査で審査対象とすることが12日分かった。

 日本の人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」が、人間ピラミッドなどの組み体操は「極めて危険で重大な事故も起きているのに、日本政府は子どもを守る方策を十分に講じてこなかった」とする報告書を提出し、委員会が受理した。報告書は組み体操の実施見直しを日本政府に勧告するよう委員会に求めている。

共同通信2019/1/12 『日本の組み体操、危険性審査へ 国連の子ども権利条約委員会』

 組体操では、2015年頃から大きく取り上げられるようになって社会問題化したが、それ以前にも長期にわたって重大事故が繰り返し起きている。死亡事故、重大な後遺症を負った事故など、訴訟になった事例も含めて多数発生している。

 30年近く前の事例でも、1990年に福岡県立高校で「5段ピラミッド」が崩れて生徒が首を骨折して全身不随になった事故や、1990年に相模原市立中学校で「4段人間タワー」から落下した生徒が死亡した事故などが起きている。

 近年では、2014年に東京都世田谷区立小学校で組体操練習中に頭部を強打して後遺症が残った事故や、2015年9月に大阪府八尾市立中学校の体育祭で「10段ピラミッド」が崩れて複数のけが人が出た事故、2016年6月に広島大学附属三原中学校の生徒が体育祭2日後に死亡し「体育祭で組体操の騎馬が崩れて頭を打ったことが原因ではないか」と指摘された問題(民事訴訟で係争中)などが起きている。組体操による骨折などでの災害共済給付金支給件数も、全国で約8500件(2013年度)起きているとされる。

 愛知県一宮市立中学校3年生徒が2017年2月に自殺した事件では、担任教諭からの複数の行為が背景にあり、関係が悪化したことを苦にしたものだとされている。一方で、関係悪化のきっかけとなった理由の一つとして「当該生徒は体育祭の組体操で骨折したが、その際に担任教諭の対応に不信感と不満を持った。またケガの影響で受験勉強なども思うように進まなくなったことで進路への不安を募らせた」といったこともあげられている。

 死亡事故や重篤な後遺症を残す事故、またかなりの高頻度で骨折事故などが相次いでいることを考えると、近年になって各自治体教育委員会によって一定の歯止め指針がかけられる風潮になってきたとはいえども、組体操で危険な技を漠然とさせていることは問題だといえる。

 「子どもの権利条約」に抵触するという指摘がされ、審議されるような状況になったことは、重く受け止められるべき問題である。国連での審議状況を注視するとともに、日本においても関係者が対応・対策を進めていくことが必要になってくる。