品川区立中学校いじめ自殺訴訟で和解成立:東京地裁

 東京都品川区立中学校1年の男子生徒が2012年にいじめを苦にして自殺した問題で、遺族側が品川区や加害生徒らに対して約9000万円の損害賠償を求めた訴訟は、1月9日に東京地裁で和解が成立した。

いじめ事件の経過

 生徒は2012年4月の中学校入学時より、同級生よりいじめを受けていた。同じ小学校から進学した生徒らから「きもい」「避けたほうがいい」などと吹聴された上、暴言を受ける・ボールを故意にぶつけられる・蹴られる・持ち物を隠されるなどの行為が続いたとされる。

 生徒は2012年9月に自殺した。

 いじめに関与したとされる生徒は、品川区の調査報告書によると32人にのぼった。品川区は、2012年11月にまとめた調査報告書では「一連のいじめは生徒を追い詰め『自殺の誘因』となったと判断せざるを得ない」とした。しかし訴訟では因果関係を争っていた。

和解内容

 和解条項では、加害者とされる生徒とその保護者が「同級生の行為によって男子生徒の心が傷ついたことや、自殺したことを真摯に受け止める」などの内容が盛り込まれた。また学校側については、当時の担任の対応が不十分だったと認めること、品川区・校長・担任博がまとめた再発防止策を実施することなどが盛り込まれた。

 その上で、いじめに関与したとされる元同級生14人とその保護者、および品川区が、遺族側に解決金を支払う。金額は非公表となっている。

 法的には一区切りということになる。

 報道によると、生徒の父親は記者会見で、以下のように話したという。

 和解成立後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した父(47)は「いじめは子どもの命を奪うものです。重大な問題であることを伝えたかった」と訴訟に踏み切った経緯を説明。

「もし今苦しんでいる子どもたちがいたら、あなたは何も悪くない。我慢せずに両親に打ち明け、助けを求めていいんだよと伝えたい」と訴え、教員に対しては「いじめはどこでも起こりうること。多忙で大変なことはよくわかります。見て見ぬ振りをせず、子どもたちの尊いいのちを守って欲しい」と話した。

弁護士ドットコム 2019年1月9日配信 『中1いじめ自殺訴訟が和解 同級生と品川区が解決金「真摯に受け止め」』

 会見で男子生徒の父親は「いじめる側の子どもにとっては1回のことでも、いじめを受ける子どもは、日々、追い詰められていくので、学校の先生には頑張ってほしい」と話していました。

NHKニュース(首都圏ニュース) 2019年1月9日配信 『中学生いじめ自殺訴訟で和解成立』

 いじめは、いじめを受ける側にとっては、生活そのものを脅かされかねないほどの重大な問題となる。いじめを許さない、万が一いじめがあっても発見次第迅速に対応できるような体制を取ることが必要になってくる。教職員の人員や業務に余裕を持たせるという角度、また教員の人権感覚やいじめへの対応手法を向上させるための取り組みを図るという角度など、多くの角度から取り組んでいく必要がある。