塾代助成制度の問題点:「日刊ゲンダイ」が特集

 日刊ゲンダイ(ウェブ版)2018年12月23日配信『教育格差は埋まるのか?「塾代助成」の課題を識者が指摘』。

 大阪市などで実施されている「塾代助成制度」やそれに類する教育バウチャー制度について触れている。その一方で、公教育の充実をないがしろにして塾代助成に回しているのは本末転倒という批判もある。

 記事では、識者の談話として、以下のような内容が指摘されている。

「貧困家庭の子供に選択肢が増えたこと自体は、ポジティブにとらえるべきでしょう。しかし、行政が、学校のみでは教育機会が不十分ということを認めたようなもの。その考えに基づいた施策で、助成金の回収を目的にした悪徳業者が出現する恐れは十分ある。塾業界が役人の天下り先になる可能性も否定できません」

「注意したいのは、学校の勉強についていけず、家でも勉強を見てもらえない子供たちです。助成金で塾に通っても、進学塾の内容についていけずに自己肯定感を下げてしまったり、塾の宿題を管理できなかったりする可能性があります」

 この指摘は杞憂でもなんでもなく、実際に起こりうる話である。

 塾代助成制度を導入して迷走している大阪市のケース。

 大阪市では、市政与党の大阪維新の会が「維新市長が就任する直前の2011年度から比較して、維新市政が教育予算を8倍にした」とおかしな宣伝をしている。その実態は、教育予算全体を8倍にしたわけではなく、塾代助成制度導入など維新市政肝いりの事業だけを抜き出して恣意的な計算をおこなったものだという。実際の教育予算の変化はほぼ横ばいで、塾代助成などに圧迫されて必要な経費がその分圧縮・削減されているということにもなっている。

 また塾代バウチャー制度を使って夜間の校舎を使用した学習塾を開くなどもおこなっているが、迷走するばかりとなっている。

 大阪市では塾代助成制度を導入しても、基礎学力定着の効果がそれほど上がっていないとも指摘されている。

 「非維新」市政である隣の堺市では、公教育の充実によって基礎学力定着の傾向が見えているのとは対照的でもある。

 決して、学習塾の存在そのものを敵視するわけではない。しかしやはり、行政としては公教育に公的支援を十分におこなうことで、必要な水準の教育を行き渡らせ、全体の「底上げ」を図る責務がある。公教育の整備が不十分で、本来公教育が担う部分まで学習塾に丸投げでは、おかしなことになってしまうのではないか。学校に充てる予算を削ってその予算を学習塾に回すのも、本末転倒といえる。