柔道教室「絞め技」訴訟の「その後」:BLOGOSが記事に

 福岡市の柔道教室で指導者から「締め落とし」技をかけられたとして、事故当時中学校2年だった男子生徒と保護者が指導者らを訴えた訴訟があった。

 この訴訟では2018年6月、原告側の被害訴えの認定範囲は必ずしも十分とはいえないものの、指導者側の「締め落とし」行為を違法と認定する判決が最高裁で確定している。

 この訴訟について「BLOGOS」が原告側に取材し、2018年12月13日配信『「柔道界は変えないといけない」—— 体でわからせるための「絞め落とし」の指導は違法との判決』にまとめている。

「柔道界は変えないといけない」—— 体でわからせるための「絞め落とし」の指導は違法との判決
柔道教室での、絞め技で意識を失わせる「絞め落とし」は違法だとして、福岡市の聡志さん(仮名、18)が指導者を相手に損害賠償を求めていた訴訟で、最高裁は今年6月、指導者側の上告を受理せず、指導者の行為は「行き過ぎ」であり、違法と認めた。これにより判決も確定、半年が

事故の経過

 当該訴訟の経過については、この男子生徒が「柔道教室の小学生に絞め技をかけた」として、指導者が「絞め技の危険性をわからせる」「指導」として生徒に「締め落とし」をかけ、生徒はその後しばらく頭痛やしびれなどが残ったとされている。

柔道「締め落とし」指導を違法とする判決確定:指導者側の上告棄却
 福岡市の柔道教室で、指導者から絞め技で失神させる「絞め落とし」を受けたとして、柔道教室に通っていた生徒(17)が指導者を相手取り損害賠償を求めた訴訟。  この訴訟で、最高裁が2018年6月19日付で、指導者側の上告を受理しない決定を...

 その一方で生徒側は、事件のきっかけとされた「小学生に絞め技をかけた」事実は全くない、指導者側も誰一人としてそのような行為を目撃したり確認していないと指摘している。

 危険な技での「指導」も問題ではあり、その論点でも厳しく批判されなければならない。

背後に柔道教室でのいじめか

 では、この生徒が「絞め技をかけた」という話が浮上した背景には、何があったのか。

 記事では、この柔道教室での生徒に対するいじめがあったのではないかと指摘されている。

 記事によると、被害生徒は中学生から柔道教室に通い始めた初心者で、約20人の生徒中3人しかいない中学生の一人だった。一方でこの柔道教室の生徒は小学生主体で、とりわけ小学生の女子に実力者が多く「強豪」とされていた。

 その結果、中学生男子で初心者の被害生徒がいじめのターゲットとなり、小学生女子から悪口を言われる・無視される・乱取りの際に必要以上に振り回されるなどのいじめがあったことが指摘された。加害者とされた生徒の保護者の中には、子どもがいじめ同然の行為をしていると認識して「注意する」と話した人もいたという。

 ある日、女子小学生が「この男子生徒から絞められた」と指導者に申し出た。「被害」を訴えた小学生は複数いたものの、指導者はその現場を誰も目撃していない。

 そして、指導者側は事実関係を確認しないまま、生徒への暴行に至ったという。保護者側が抗議しても、指導者は「この生徒が絞め技をかけたと聞いたから、危険性をわからせるために指導した」の平行線だった。

いじめ問題への対応の観点からもおかしい

 これは、いじめ問題という観点からみても、一番してはいけない最悪の対応になってしまっている。

 事実関係を確認せずに「犯人」と決めつけて暴行、しかもそれは濡れ衣で事実無根だった、いじめの一環として逆に「いじめの標的とした相手が、逆に自分たちに加害行為を加えてきた」とでっちあげている疑いもある――どの観点をとっても極めてまずい行為である。

 暴行や危険な「絞め技」自体が問題外ではあるが、それを正当化する手段として、事実関係を確認していないのに「生徒がおかしなことをした」と決めつけて「指導」目的でことに及んだと主張していることは、さらに悪質である。

 では、指導者側はなぜこのようなおかしな判断をしたのか。推測の域を出ないが、柔道の競技には詳しくても教育論や生徒指導論などには詳しくないのではないかと思われる対応に加えて、「被害」を訴えたのが「小学生女子」で名指しされたのが「中学生男子」だったことから、性別や年齢でのバイアス・固定観念も働いたのではないかとも思われる。理由はどうあれ、不適切な対応であり、このようなことがないようにしていかなければならない。