給食の「完食指導」によって不登校などに、支援団体に相談1000件以上

 小中学校の給食の「完食指導」によって不登校や体調不良などになったとして、支援団体への相談が相次いでいることがわかった。

 時事通信2018年11月19日配信『給食完食、強要やめて=相次ぐ不登校、訴訟も―支援団体に1000人相談』が報じている。

記事の概要

 記事によると、2017年5月から2018年9月の約1年3ヶ月間に、一般社団法人「日本会食恐怖症克服支援協会」(東京都渋谷区)に対して、給食の「完食指導」によって被害を受けたとする相談が延べ1000件以上あったとしている。

 相談内容として、以下のようなものがあったと紹介されている。過去の完食指導をきっかけに会食恐怖症や対人恐怖症などを発症したと訴える20代・30代からの相談が目立っているという。

 相談内容は「完食指導に我慢できず、小学3年から不登校になり、対人恐怖症になった」「幼稚園登園を渋るようになった」「野球部での食事指導で、1年間吐き続けた」などさまざま。転校を余儀なくされた例もあった。

誤ったやり方は人権侵害にも

 食材のロスに目を向けさせることや、好き嫌いの克服などの課題は、一つの独立した論点としては重要ではある。

 しかしその一方で、個別にあった量やスピードなどを無視して「完食指導」をおこない、虐待や人権侵害とみなされるような事件も、過去にいくつも発生している。

 2005年には鳥取県の小学校の教諭が、「長年にわたって、食事が遅い子どもなどに不適切な給食指導をおこなっていたのは人権侵害にあたる」として、弁護士会から警告書が出される事件があった。

鳥取県湯梨浜町(旧東郷町)・小学校教諭の虐待事件
鳥取県湯梨浜町(当時の東郷町)の小学校に勤務していた女性教諭が、少なくとも1997年~2004年の約7年間にわたり、「給食指導」と称して虐待行為を繰り返していた事件。2004年に弁護士会に人権救済申立があり、2005年に弁護士会が「人権侵害

 また2017年には、富山県や岐阜県でそれぞれ、担任教諭の不適切な「完食指導」によって児童を嘔吐させるなどの行為があったと報じられた。

 静岡県では2018年、「当時通っていた小学校で、牛乳が飲めないのに、担任教諭から無理やり飲むよう強要されたことでPTSDを発症し不登校になった」として、被害者が自治体を民事提訴している。

 東京都調布市立小学校で2012年に発生した給食アレルギー死亡事故では、直接の原因は「給食のおかわりの際に、アレルゲンを含むメニューを誤って食べ、担任教師もその際に十分確認せずに渡した」というものではある。一方で事故の遠因として、普段から学級で給食の残菜をゼロにする「給食完食」を目標に掲げていて、事故当日は児童がクラスの目標に貢献するためにおかわりに手をあげたことが指摘されている。

東京都調布市給食アレルギー死亡事故
東京都調布市立小学校5年だった女子児童が2012年12月、乳製品アレルギーを持つ児童が誤ってチーズ入りのメニューを食べ、アナフィラキシーショックで死亡した事故。事故概要児童は乳製品に強いアレルギー反応を示し、牛乳が体にかかっただけでも症状が

 これらの事例はいずれも最悪のケースを招いたものだとはいえども、「完食指導」は場合によっては、児童生徒の心身に悪影響を与えかねないということにもなる。

 完食指導そのものが一律に悪いわけではないが、実施するにしても虐待や人権侵害にならないようなていねいな方法が前提になるべきである。