銃剣道の授業を全国で唯一導入している中学校、2018年度から取りやめへ:神奈川

 全国の中学校で唯一「銃剣道」の授業を実施してきた神奈川県平塚市立土沢中学校で、銃剣道の授業を取りやめることがわかった。

 保健体育科の授業として、例年は1月に3~4授業時間程度実施してきたが、2018年度以降は取りやめるとして、2018年10月に生徒や保護者に通知をおこなった。

授業実施の背景

 中学校では保健体育科で「武道」が必修となり、学校の条件に応じて種目を選択して学習することになる。現行学習指導要領では、具体的な実施種目として柔道・剣道・相撲が例示されているものの、なぎなたなど例示されていない種目についても学校判断で実施が可能となっている。

 銃剣道については、2017年3月に告示され2021年度より実施される予定の次期学習指導要領で、種目として明記されることになったとして問題になっていた。

 銃剣道は旧日本軍の格闘術として成立したものであり、スポーツとしてはふさわしくないことが指摘されている。銃剣道を新学習指導要領に明記したのは安倍内閣で、教育勅語を明確に否定しない姿勢など他の教育関係の動きも加えて、「戦争する国づくり」に逆戻りするのではないかとも危惧されている。また銃剣道の動作では、中学校段階での剣道指導では「危険」として禁止されている突きなどの動作が中心になっていることで、生徒にとっても危険だし、剣道指導との整合性も取れなくなるとも指摘されている。

 当該中学校では武道に充てる必修時間(1・2年で各学年それぞれ年間8時間の授業計画)として、剣道を学校選択して履修させることにした。しかし剣道の防具が十分に足らずに素振りなどが中心になっているとして、2016年度より一部時間を銃剣道に振り分けていた。銃剣道の研修を受けた教員が在籍していたことも、銃剣道導入に踏み切った理由だという。

 授業では対戦などはせずに、木銃で突きなどの基本動作をおこなっていた。

 学習指導要領の上では、手続き論という意味では問題はないとはいえども、銃剣道をめぐる背景からは授業に批判や疑問が起きていた。市民団体などが学校に対して、銃剣道の授業を中止するよう申し入れたこともあったという。

 学校側は銃剣道の授業を中止した理由については、「かねてから剣道の防具確保の手法を模索していた。近隣の他校から防具を譲ってくれるという話があり、防具確保の見通しが立ったから、武道の時間は全時間を剣道に充てることにした」「市民団体などからの申し入れが理由ではない」としている。

中止の方向は歓迎

 銃剣道の授業を中止したこと自体は、理由や背景がどうであれ、歓迎されるべきである。

 政治的な動きは賛否両論あるだろうが、少なくともスポーツとしての安全性や競技性が確立されていないこと、および生徒にとって大きな危険を伴うことを、学校教育の場で強いる必要はない。

 また一方で、「授業で武道必修化」としながらも必要な体制整備を怠っている、教育行政の問題点も浮き彫りになっている。

(参考)
◎神奈川)平塚の土沢中、銃剣道の授業取りやめ(朝日新聞 2018/11/3)