いじめ隠蔽で停職の教諭「処分重すぎる」と提訴:大阪高裁で一部認容される

 兵庫県姫路市立中学校の元教諭が、「指導していた部活動でのいじめを隠蔽し、いじめが原因でケガをした生徒について、自分で転んだことにしろと同僚教諭や被害生徒に口裏合わせを強要した」などとして停職6ヶ月の懲戒処分を受けたことを不服として、処分取り消しや約1320万円の損害賠償などを求めた訴訟で、大阪高裁は11月9日、請求を棄却した一審神戸地裁判決を変更し、処分を取り消した上で慰謝料55万円の支払いを命じる不当判決を出した。

事件の経過

 当時の新聞報道によると、教諭の行為はおおよそ以下のようになっていたという。

 同校の運動部は、全国大会にも出場するほどの「強豪校」といわれる学校だった。全国から生徒が部活動目的で越境入学し、学校近くで下宿生活を送っていた。

 2015年7月、当時1年生だった男子生徒がケガをしている様子に副顧問の教員が気づいて事情を聴いたところ、同じ部の2・3年の上級生2人から蹴られるなどの暴行を受けていたことがわかった。

 副顧問教諭は、ケガをした生徒に付き添って病院に行くことになった。しかし顧問教諭は副顧問教諭や被害生徒に対し、「階段から転んだことにしておけ」と虚偽説明をするように強要した。生徒は病院を受診したところ、骨折と診断された。

 教諭は嘘の説明を強要した動機について「いじめだと正直に言うと、医師から警察に通報されるかもしれないと思った」などとした。

 その後の調査で、加害生徒2人がこの生徒を含む1年生3人に対し、エアガンで撃つ・揮発性の香水を体にかけて火を付ける・プールや海に沈める・下宿で出た食事で自分たちの嫌いな食材が出たときには下級生に無理やり食べさせるなど、いじめを継続的におこなっていたことが判明した。加害者も被害者も全員、兵庫県外からの下宿生だった。

 校長は加害生徒を部活動の大会に出場させないよう指示したが、教諭は無視して2015年8月の大会に出場させ、部活動チームは優勝した。加害生徒は主力選手だったという。

 兵庫県教育委員会は2016年2月、いじめ隠蔽と、加害生徒を大会に出場させないように校長から指示があったのに無視したことを問題視し、「教育公務員にふさわしくない非行」として、顧問教諭(当時58歳)を停職6ヶ月の懲戒処分にした。

訴訟自体が疑問

 教諭の行為は、停職6ヶ月でも「甘い」「温情」と言うべきものである。しかしそれでも不服として、処分取り消しを求める訴訟を起こしていたなど、訴訟を起こす権利そのものは理論的にはあるのかもしれないが、訴訟制度の乱用ではないか。

 高裁判決では、病院に対しては隠したが、学校に対してはいじめを報告し管理職に情報が届いていたので隠蔽には当たらないと結論づけ、停職は重すぎると判断したという。しかしこんなもの、屁理屈もいいところである。