「弁護士ドットコム」、東京都立高校いじめ自殺訴訟の背景まとめた記事を出す

 東京都立小山台高校1年だった男子生徒が2015年に自殺し、背景にいじめが指摘されている問題。この問題では、遺族側が2018年9月20日付で東京都を相手取り、約9300万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。

 この案件について、東京都の不誠実な対応によって、遺族側が「真相に迫るには裁判に持ち込むしかない」と追い詰められた経過が、「弁護士ドットコムニュース」2018年10月23日配信『いじめ調査委、資料は「黒塗り60ページ」、遺族を裁判に駆り立てた「都の不誠実対応」』で紹介されている。

いじめ調査委、資料は「黒塗り60ページ」、遺族を裁判に駆り立てた「都の不誠実対応」
「学校でなかったことにされている息子の人権と名誉の回復をしてもらうには、もう裁判しか方法がないのです」。こう話すのは、東京都立小山台高校1年の男子生徒(当時16)の遺族。男子生徒は2015年、自ら命を絶っ...

自殺事件の経過

 「弁護士ドットコム」の記事や過去の報道を総合すると、自殺事件の経過はおおよそ以下のようである。

 生徒は2015年に同校に入学したが、身体的な特徴を揶揄されたり無視されるなどのいじめを受けたという。学校生活についてのアンケートでも、いじめについてのSOSを発していたが、学校側は対応しなかったとされる。また2学期になると、保健室を4回訪問し、早退も2回あった。

 生徒は2015年9月27日夕方、山梨県大月市のJR中央本線大月駅で、ホームから駅に進入してきた特急列車に飛び込んで自殺した。遺書などはなかったが、生徒の携帯電話からツイッターに「死んでしまいたい」「飛び込みたくなった」「ホームドアがあってよかった」などの書き込みがおこなわれていたことが判明した。

調査から裁判にいたるまで

 この案件では調査委員会が設置されて調査がおこなわれた。

 「弁護士ドットコム」によると、遺族側には調査内容は開示されず、開示を請求しても「関係者の人権」を理由に拒否されたという。また都教委からは、遺族に対してもひどい対応があったことが指摘されている。

遺族は都教委の担当課長からも厳しい言葉で傷つけられるという「二次被害」にあったと主張している。遺族が「真相を調べて説明してほしい」と懇願すると、当時の教育計画担当課長は「他の人は迷惑と言っているんだ」「他の生徒にも人権があるんだ」などと言い、資料を机に叩きつけたり怒鳴りつけたりしたという。

 遺族側の代理人弁護士は、非開示措置について、過労死事件では事業主が直前の労働状況などを遺族に説明するのが普通になっていることと対比しながら、都教委の対応はおかしいとしている。

都教委の対応はおかしいのではないか

 「他の生徒など関係者の人権」を理由にするのならば、当該生徒の人権が侵害され続けた末に死に追い込まれたことを無視するつもりなのかと、強い疑問を感じる。

 いじめの真相解明については、アンケートなどの扱いは、個人名などを伏せて開示する手法はいくらでもある。必要な情報は不特定多数の生徒の個人名ではなく、自殺した当該生徒へのいじめがあったかどうか・いじめがあった場合は具体的にどのような内容かという情報である。「関係者の人権」と両立する方法での開示はいくらでも可能であり、都教委の言い分は成り立たないと感じる。